【逢魔時退魔学園】
三善先生「ファイテンもここまで力をつけた。・・・伝えなければならない試練がある」
三善先生「今までとは違い、文字通りの【試練】だな。いつか達成するべき目標と考えておいてもいい」
吉備校長「【がしゃどくろ】ではなく、あの神のことも伝えるつもりか?」
三善先生「はい、そうですね。私には越えられなかった壁ですから」
ファイテン「先生が、ですか?」
三善先生「地方自体は陸奥国よりも歩を進めたのだがな。かの神の討伐だけはできなかった」
三善先生「【アラハバキ】陸奥国に祀られている、正真正銘、古代の神だ」
百花文「アラハバキ・・・古い書物でも、その由来がはっきりしていない神ですよね」
三善先生「その本質は今でも明らかになっていない。だが、少なくとも今現出しているものは岐(ふなど)の神と呼ばれる神性をもっている」
吉備校長「病魔や災害や土地を守る神のことじゃな」
百花文「えっと。それではなぜ、その神を討伐する必要があるのでしょうか?」
吉備校長「かくりよの大門が開いて以降、各地の伝承は解釈を変え、全国に拡大しておる」
三善先生「【外より来たる悪しきもの】転じて【外より来る、この国の異物】・・・思い当たるものがあるだろう?」
ファイテン「あっ!もしかして、舶来の式姫!」
吉備校長「その通りじゃ。陰陽師は古来より舶来の式姫を使役してきたとは言え、知らぬものからみれば、戸惑うじゃろう。分からぬものは異端や異物となる」
三善先生「陸奥国にあるアラハバキを祀った神社。敵として見るのは舶来の式姫と、それを使役する陰陽師だ」
ファイテン「なんだか、少し悲しいですね。害なんて、そんなこと、ないのに・・・」
吉備校長「修練場にある四神・式の祠も、実はかの神をおさえるために設置されたもの」
吉備校長「四神を模した式の力を持ってすら、完全には封じられておらん」
吉備校長「常に四神の封印が施された状態じゃ。力の残滓を発見できるかもしれんぞ」
吉備校長「腕試し、と言うほど気軽ではない。避けて通っても問題の無い道じゃ。じゃが、四神の力を身に纏い、さらに上を目指すのであれば、挑んでみるといい」
ファイテン「はいっ!」
吉備校長「外から来た異物、か・・・この国は長く門戸を閉ざしておった。じゃが、これからもそうであるとは限らない」
吉備校長「そうでなくなった場合、陰陽師は、いや、古くから残る伝承はどうなるのか。上手く相容れるのか、拒絶するのか、逆に淘汰されてしまうのか・・・」
三善先生「考えて、しまいますね」
吉備校長「何にせよ・・・滅びは、見守りたくないものじゃな」