第17章 アラハバキ

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【逢魔時退魔学園】

文 ファイテン 校長 三善

三善先生「ファイテンもここまで力をつけた。・・・伝えなければならない試練がある」

三善先生「今までとは違い、文字通りの【試練】だな。いつか達成するべき目標と考えておいてもいい」

吉備校長「【がしゃどくろ】ではなく、あの神のことも伝えるつもりか?」

三善先生「はい、そうですね。私には越えられなかった壁ですから」

ファイテン「先生が、ですか?」

三善先生「地方自体は陸奥国よりも歩を進めたのだがな。かの神の討伐だけはできなかった」

三善先生「【アラハバキ】陸奥国に祀られている、正真正銘、古代の神だ」

百花文「アラハバキ・・・古い書物でも、その由来がはっきりしていない神ですよね」

三善先生「その本質は今でも明らかになっていない。だが、少なくとも今現出しているものは岐(ふなど)の神と呼ばれる神性をもっている」

吉備校長「病魔や災害や土地を守る神のことじゃな」

百花文「えっと。それではなぜ、その神を討伐する必要があるのでしょうか?」

吉備校長「かくりよの大門が開いて以降、各地の伝承は解釈を変え、全国に拡大しておる」

三善先生「【外より来たる悪しきもの】転じて【外より来る、この国の異物】・・・思い当たるものがあるだろう?」

ファイテン「あっ!もしかして、舶来の式姫!」

吉備校長「その通りじゃ。陰陽師は古来より舶来の式姫を使役してきたとは言え、知らぬものからみれば、戸惑うじゃろう。分からぬものは異端や異物となる」

三善先生「陸奥国にあるアラハバキを祀った神社。敵として見るのは舶来の式姫と、それを使役する陰陽師だ」

ファイテン「なんだか、少し悲しいですね。害なんて、そんなこと、ないのに・・・」

吉備校長「修練場にある四神・式の祠も、実はかの神をおさえるために設置されたもの」

吉備校長「四神を模した式の力を持ってすら、完全には封じられておらん」

吉備校長「常に四神の封印が施された状態じゃ。力の残滓を発見できるかもしれんぞ」

吉備校長「腕試し、と言うほど気軽ではない。避けて通っても問題の無い道じゃ。じゃが、四神の力を身に纏い、さらに上を目指すのであれば、挑んでみるといい」

ファイテン「はいっ!」

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吉備校長「外から来た異物、か・・・この国は長く門戸を閉ざしておった。じゃが、これからもそうであるとは限らない」

吉備校長「そうでなくなった場合、陰陽師は、いや、古くから残る伝承はどうなるのか。上手く相容れるのか、拒絶するのか、逆に淘汰されてしまうのか・・・」

三善先生「考えて、しまいますね」

吉備校長「何にせよ・・・滅びは、見守りたくないものじゃな」

アラハバキ


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