第20章 佐渡:金山北部

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

【逢魔時退魔学園】

ファイテン 三善

三善先生「かくりよの門が確認されたのは、金鉱山の奥になる」

ファイテン「きっとまた、入り組んでいるんですよね・・・」

三善先生「そうだな。坑道は便利性よりもまずは【とにかく掘れる場所】が優先されやすい。その分、妖金鉱も掘り出せるだろう。道すがらに調べていくといい」

三善先生「出現するあやかしは・・・私の助言よりも確かなものがあるだろう。そちらを参考にするといい」

ファイテン「気づいて、いたんですか?」

三善先生「校長先生から聞いていたしな。全く、お前には驚かされる」

三善先生「ともあれ、準備ができたら金山に向かうように」

ファイテン「了解しました!」

・・・・・・

三善先生「出てきて頂けませんか?悪路王」

悪路王 三善

悪路王「・・・何用だ」

三善先生「頼りないところも多いですが、ファイテンは私の教え子であり、大切な、人間です。どうか、私の見守れない遠征先などでも、宜しくお願いします」

悪路王「陳腐な言葉だな」

悪路王「・・・だが、言われるまでもない。力は貸さぬが、死地に追いやることはしない。そこだけは、ここで言っておこう」

三善先生「その言葉が頂ければ十分です。ありがとうございます」

【佐渡国 金鉱山 北部】

佐渡金山 北部

ファイテン「金山ってことで気になっていたんだけど、甲斐とは少し雰囲気が違うんだね」

百花文(佐渡は流刑地とされることもありますが、金山で働くことは富にも繋がります。自ら望んでこの地で働かれている方も多いらしいですね)

百花文(もちろん、罪を犯した方もいますが、そうした方はもっと奥地にいるようです)

百花文(【過酷に使役される】という意識はこの辺では薄いのかもしれません)

ファイテン「しょうけら、が出て来るかと思ったら、そうでもないのはそのせいかな」

百花文(出現するあやかしは、南部と同じです。対応する順番に気を付けてくださいね)

ファイテン「うん。わかったよー」

先遣隊「もう少し先に進むと、小さな村がある。かくりよの門は村の奥に出現しているぞ」

炭坑夫「つい最近この先で新しい金脈が見つかったんだけど。そのことごとくが妖金鉱ってヤツらしくてね・・・」

幕府の役人「金がすぐ近くにあるのに掘れぬ。いや、正しくは掘っても徒労に終わるのだ」

幕府の役人「本来なら罪を犯した者をここに派遣し、金を掘らせる作業をさせていたんだがな。今、あれらをここに連れてきても何の意味もない」

炭坑夫「罪人がここにきて金を掘っていた時はちょっとばかし治安も悪かったよ。今は殆どいないから静かなもんだ」

村娘「この辺りも山の一部だったけれど、昔の人達が村にする為に開拓していたんだって。村の中でも金が出るのはその名残みたい」

炭坑夫「何もかも仕事が止まってなぁ・・・これじゃあ体もなまっちまうよ」

先遣隊「村はもう少し先にあるぞ。かくりよの門も村から近い」

佐渡の村人「お、よくここまで来れたな。崖に林に鉱山にとキツかったろう?」

村娘「村の奥にあるご神木のすぐ近くにかくりよの門ってのが開いたの。開いた瞬間を見ちゃった・・・」

まじない師「『金の瘴気を解呪出来ないか』って依頼が来てね。お奉行様も無茶を仰る・・・どうしたものかしら」

【佐渡国 金鉱山 北部 守護者前】

文 ファイテン 悪路王

ファイテン「雰囲気はどうあれ、入り組み方は甲斐よりも酷かったね・・・」

百花文(金が出てきた場所を掘り進みますし、入り組んでしまうのかもしれません)

悪路王「複雑に入り組んだ坑道では、また事故とも隣り合わせだ。金が魔を呼ぶ。と言った話は、後先考えぬ拡張のせい、とも取れるな」

ファイテン「その分、妖金鉱は貯まりましたけどね」

百花文(嬉しそうに掘ってましたね・・・)

悪路王「ほう・・・ここの守護者もまた、怪談より生まれしものか」

悪路王「赤舌【あかした】だ。聞いたことはあるか?方位師よ」

百花文(絵巻物で見たことはありますが、確かに伝承としては聞き及びませんね)

悪路王「ふむ・・・弱点は水と風だな。また、再生能力を持つが反抗が苛烈になるときには再生が止まる。極端な怯えだな。滑稽だ」

ファイテン「ほへー・・・」

悪路王「どうした?」

ファイテン「いえ、何だか先生みたいだなーって」

百花文(えっ、それ言っちゃうんですか!?」

悪路王「さて、吾の言っていることは正しいとは限らんぞ?」

ファイテン「そうですね。まずは、自分で確かめないと!」

悪路王「それで良い。精々、吾を退屈させるな」

ファイテン「はいっ!」

【逢魔時退魔学園】

ファイテン 悪路 三善

ファイテン「金鉱山の門を閉じてきました。今回も、あやかしは伝承のものでは無かったです」

三善先生「そうか・・・となると、やはり・・・」

悪路王「間違いなくアレのせいだな。信仰という力は強い」

悪路王「その上、弱きものが理解できぬ事態に面すれば、信仰が強くなることもあろう」

三善先生「かくりよの門が開いて以降、土着で細々とされていた信仰が急に力を増すことがあるのは、こちらでも確認されています」

悪路王「豪族でもあり、鬼神でもあり、龍を討伐したともされる存在・・・その信仰が強まったが故に、伝承の入り込む隙間が無いほどに、かくりよの大門の力を吸っているのであろう」

悪路王「吾とは、また違う有り様だ」

ファイテン「ええと、すみません。何をいっているのか私には・・・」

悪路王「心せよファイテン。お前は今後、土着の信仰を斬るやもしれん」

悪路王「二つの面に多くの手足を持つ鬼神【両面宿儺(りょうめんすくな)】その門が開かぬうちに、力を蓄えておくのだな」

三善先生「ファイテン。あの地方の門が対応しているのは、今はお前だけだ」

三善先生「まだ先が決まった訳ではない。だが・・・」

ファイテン「わかっています、先生」

ファイテン「駿河にあった蟲毒の社。また、あの地が生まれる可能性は私の手で、門と共に閉じます!」

三善先生「ああ・・・そうだな。準備を、進めておいてくれ」

ファイテン「はいっ!」


« 前のページ / 次のページ»