第20章 佐渡:金山南部

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1

【逢魔時退魔学園】

悪路王

悪路王(どう動くかは吾の自由・・・か)

悪路王(泉が吾に甘えるとは珍しい。明日は槍の雨でも降るか・・・)

ファイテン 悪路王

悪路王「ファイテン」

ファイテン「はい、なんでしょう。お酒なら・・・」

悪路王「そうではない。お前は気にならぬか?吾が土御門に与えた力が」

ファイテン「んー・・・と」

悪路王「自分も、同じように力が欲しい。とは思わんのか?」

ファイテン「思わないですね(主チャの声:くれw)

悪路王「だが力無くば何も成せぬぞ。お前のやりたいこともな」

ファイテン「欲しくない訳ではないです。ただその理由が【澄姫が貰ったから】ではダメだと思うんです」

ファイテン「誰かが何かを得たときに、それを羨み、欲する。それは自然なこと。だが、見極めを忘れるな。本当に必要か、ほかに手段はないか」

ファイテン「これ、校長先生の言葉なんです」

悪路王「そうか・・・泉がそんなことを。ふふふ・・・何とも面白い話だ」

ファイテン「澄姫と同じ力を望むとすれば、何もかもやりつくした後ですよ」

ファイテン「私が悪路王さんに望むとすれば、お酒の量を・・・」

悪路王「無理な願いはするな。しかし」

悪路王「吾からの力と酒を同列に扱うか!これは傑作だ!」

悪路王「ならばお前のやり方で力を磨け。見届けてやろう」

ファイテン「はいっ!」

004.png

三善先生「次なるかくりよの門が開かれた土地だが、佐渡国にある金鉱山との報告があった」

三善先生「三島漁村と同じく、いままで例のない場所になる。いつも以上に気を付けてほしい」

ファイテン「はい。わかりました!」

百花文「先生、その情報は学園の先遣隊からですか?」

三善先生「ああ、そうだ。・・・前回のことか?」

百花文「はい。私にはあれは・・・」

三善先生「それ以上は口にしない方がいい。どこに耳があるかわからんしな」

三善先生「佐渡国と言えば幕府の直轄地であり、疑うのも無理はない。だが佐渡の土地と言えば幕府にとっても重要な土地だ。わざわざそこで、いざこざなど起こすまい」

百花文「そうだと・・・いいのですが」

三善先生「あやかしの現れた土地の金は、妖金鉱となってしまい、価値がなくなる。今回の件で言えば、幕府が泣きついてきた形になっている。問題はない」

ファイテン「ええと、妖金鉱・・・と言うと、甲斐の金山で採掘したことを思い出します」

三善先生「あのときはお前の職を疑いたくなったが・・・先立つものの工面として、致し方ないな」

三善先生「あやかしが現れたのは一部とは言え、佐渡国の金山は広大だ。まずは中継地点を目指して進んでほしい」

ファイテン「はぁーい。行って来ますねー」

【佐渡国 金鉱山 南部】

佐渡金山 南部

ファイテン「鉱山とは聞いていたけど、まずは坑道まで辿り着かないと、だねー」

百花文(佐渡国の金山は数も多いですが、その入り組んだ作りも問題です。確かに、中継地点がなければ長い道のりだったでしょうね)

百花文(出現するあやかしは、報告を見る限り、大首と狸囃子です)

ファイテン「た・・・たぬ?」

百花文(狸囃子『たぬきばやし』、ですね。元々は怪談からですが・・・)

百花文(あの、ファイテンさん・・・)

悪路王「案ずるな、方位師よ。吾の目にも、今回は策が見えぬ。見えるのは・・・遠い都で、泉が先の件に関して仕置きしている場面だな」

百花文(それはそれで問題ですよね・・・)

悪路王「新たな大首は極端な性質を持つ。黄金は耐性、漆黒は耐久力、狸囃子は・・・厄介だな。全ての技の名前が同じだ。範囲を得意とするのは【弐】だ。優先的に処理をしろ」

百花文(あれ。それは私の仕事・・・)

悪路王「そう言うことだ、方位師。まずは自らの職分を全うするのだな」

百花文(・・・・・・心しておくようにします)

先遣隊「越後の一件は佐渡にも影響があったようで、数こそ少ないが大首も徘徊しているな」

行商人「この島には狸がいましてね、隙を見せるとイタズラをしてくるそうなんですよ」

佐渡の村人「山に囲まれたとこに村があるんだが、道がちょっと面倒でな。ここからだと坑道を通らなきゃならんぜ」

村娘「お仕事でこの島を出いりする人は多いけど、元々、ここに住む私達はあまり島をでないの」

炭坑夫「ここの金脈は幕府の財源になっていてな、全部、妖金鉱とやらになってしまうと幕府が立ち行かなくなっちまう」

幕府の役人「知っているとは思うが妖金鉱は金としての価値はない。このままでは我らは勿論、民にも悪影響が出るぞ・・・」

炭坑夫「金自体は出るんだけどなぁ。・・・ま、今はカネにはならんがね」

炭坑夫「この先は村に続いてんだけど、ちょっと前に岩盤が崩れちまってな」

炭坑夫「いつまで経っても作業が再開せんし、とりあえずこの岩盤でも片付けるかね・・・遠回りだが、もう一つの道なら通れるよ」

炭坑夫「おっと、崖に気をつけろよ?落ちちまったら、どうしようもねえからな」

炭坑夫「たまーに俺達が掘り起こした妖金鉱を狸達がこっそり盗んでいくんだ。イタズラのつもりかもしれんが、な」

炭坑夫「そういえば村のほうに変な格好をしたおなごがおったなぁ。あれも陰陽師だか退魔師ってヤツかねぇ」

幕府の役人「お主が退魔学園の陰陽師か。よく来てくれた。この先は金の精錬所を兼ねた村があるぞ」

【逢魔時退魔学園】

ファイテン 三善

三善先生「無事に中継地点へと到達出来たようだな。こちらでも報告は受けている」

ファイテン「道が入り組んでいたのもありますが、あやかしが厄介でした」

三善先生「どうもあの地方では伝承と言うよりも怪談を元にしたあやかしが多いらしい。確実な対応を取る、手がかりが薄い。実際に戦ってみないことにはな」

三善先生「金山の奥地ともなると、その組み合わせ数も増える。いままでのことを思い出し、準備を怠らぬようにな」

ファイテン「はぁーい」


« 前のページ / 次のページ»