第31章 淡路:自凝島(おのころじま)

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【逢魔時退魔学園】

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吉備校長「淡路島にかくりよの門が開いたらしいな。早速向かってくれんかの」

ファイテン「ず、随分急にですね」

吉備校長「そうか?門が開くのは今までも前触れは無かったはずじゃが」

ファイテン「いいえ。校長先生の言い方が、です。なんだか懐かしいくらいに」

吉備校長「ははっ…そうか、そうじゃの。今までは前置きが長すぎた」

吉備校長「転送先は文に教えておく。淡路島への遠征を頼んだぞ」

百花文「あっ、は、はい!」

ファイテン「それじゃ、私は準備してくるねー!」

………

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吉備校長「文よ、これまで色々とすまなかったな」

百花文「えっ…」

吉備校長「今のうちに伝えておこう。淡路島にかくりよの門が開いたというのは虚言じゃ」

吉備校長「元よりあの地には門は開かぬ。国産みにて最初に造られた島。そのようなものが開く余地はない。例え陰陽師がどれだけ力をつけようと」

百花文「どうして、と聞いて欲しい。であっていますか?」

吉備校長「その通りじゃ。いざというときに方位師まで揺れぬようにな」

吉備校長「転送先をまずは教えておこう。ファイテンを送った後。また、ワシの元に来てくれ。一人でな」

【淡路国 淡路自凝島(あわじおのころじま)】

淡路自凝島

ファイテン「…文ちゃん、いる?」

………

ファイテン「あの、悪路王さん…?」

………

ファイテン「悪路王さんはこの前からだけど、文ちゃんも…どうしたんだろう」

………

ファイテン「鈴さんの頃は、これが普通。だったんだよね。現地への転送の後は」

ファイテン(…少し、寂しいな)

先遣隊「どうやら今は落ち着いているようだが、何があるかわからない。気をつけろよ」

漁師「しっかり留めておかないと、船が流されちまうことがあるんだ」

漁師「今日は大漁だったな。これも伊邪那岐様のお陰だな」

行商人「ここの人たちとは文だけじゃなくて、たまに物々交換もしてるんだ。何か欲しいものがあるかい?」

町娘「やっぱりここからの眺めは最高よね。ここで釣りもしてみたいのだけど、誰か教えてくれる人いないかなー」

旅人「これだけ大きいと、ただただ圧巻だな。しかし、いったいどうやって作ったのだろうか…」

お坊さん「意外と脇道を通る人が多いので、多少は道を整備しようと考えています」

受付「参拝される方はここで受け付けます。学業、仕事、恋愛など色々とご利益ありますよ」

お坊さん「あやかしはいるけど、かくりよの門が開いたという話は聞いてないな」

和尚「離島だから外部の人はなかなか来なくてな。一度、この地を訪れてもらえれば良さが分かってもらえると思うのだが…」

村人「ん?おれはここで釣りをしているだけだぞ」

巫女見習い「逢魔時退魔学園の方でしょうか?あなたが来たらこの手紙を渡してくれと…」

【逢魔時退魔学園】

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百花文「……」

ファイテン「かくりよの門、開いてなかったです。代わりにこの手紙が…」

吉備校長「ふむ。そうか。苦労をかけてしまったな」

ファイテン「校長先生に見せろ、と書いてあります。私では開けられないみたいだし…」

ファイテン「淡路島に遠征した理由、実は手紙を拾って来い、ではないですよね?」

吉備校長「諸々含めて話をしよう。その手紙を持って学園の裏手に来てくれ」

ファイテン「は、はい」

………

ファイテン(文ちゃん、ずっと喋らなかったけど、どうしたんだろう…)

【逢魔時退魔学園裏手】

校長の式 ファイテン

校長の式「ここで待っていろ、とのことだ」

008

吉備校長「来たな、ファイテンよ。どれ、少し手紙を見せてくれんか?」

ファイテン「はい。これです」

………

吉備校長「ふむ…まあ、そういうことじゃろうな」

………

吉備校長「聞いておこう、悪はおるか?」

ファイテン「悪路王さんは…少し前から姿を見せません」

ファイテン「帰ってしまった、訳ではないと思うんですが…」

吉備校長「そうか。であれば、良い。ワシのところにも現れんしの」

ファイテン(一日二日じゃないしね…気には、なってはいるんだけど)

吉備校長「ファイテンよ。オヌシの最古の記憶、今一度聞かせてくれんか?」

ファイテン「…陰陽師を目指したきっかけ。最初の記憶は、私を助けてくれた式姫…」

ファイテン「家族のことは覚えていませんが、式姫が助けてくれたことは覚えているんです」

ファイテン「けれど、いくら調べてもその子の情報はどこにも載っていなくて__」

吉備校長「じゃろうな」

ファイテン「えっ…?」

吉備校長「ファイテンよ。家族のことは覚えていない、と言ったな」

吉備校長「では教えよう。お前の母は陰陽師だ。そして、ワシと共に旅をしておった」

ファイテン「……」

吉備校長「考え込む、が、驚きはせぬのか」

ファイテン「…なんとなく、わかっていました。悪路王さんも一緒だったんですよね」

ファイテン「いや、一緒、だとちょっと違うかな?でも__」

ファイテン「校長先生も、悪路王さんも、私にそれを伝えようとしていたと思います」

吉備校長「そう見えておったか…そうか。そうじゃな__」

吉備校長「なるべく重ねないようにしようとしていたが、どこか伝わってしまうもの、じゃな」

ファイテン「私の探していたあの子はもしかして、校長先生か、その人の__」

吉備校長(母、とはすぐに呼べんか。感情の問題であれば良いのだが…)

吉備校長「完全に当たりではない。だが、遠からずじゃ」

吉備校長「全てを知るためには、準備が必要となる。この手紙はその一つ」

吉備校長「オヌシの母が使役していた、いや【使役している】式姫からのものじゃ」

ファイテン「え…えっ!?使役、している…!?」

吉備校長「神世七代に記されし、神の名を持つ式姫。【伊邪那岐(いざなぎ)】の手紙じゃよ」

吉備校長「ワシへの問いと、お前が正しくアヤツの子であれば、会う必要がある__」

吉備校長「そう手紙には記されておる」

ファイテン「私の家族が…?いや、どうして死んだと思って…」

吉備校長「混乱してしまうのもわかる。じゃが、落ち着くより先に動かねばならぬこともある」

吉備校長「学園より【淡路島 伊邪那岐神社】へ遠征し、直に話を聞いてくるのじゃ」

吉備校長「場所は文に伝えておる。既に、な」


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