第22章 飛騨八賀郷

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【逢魔時退魔学園】

ファイテン 悪路 三善

三善先生「信濃龍の報と同時に、新たなかくりよの門の報告と両面宿儺の報告があった」

ファイテン「この間から言っていましたね。鬼神でしたっけ」

三善先生「そうだな。これに関しては私よりも校長先生から・・・」

悪路王「泉の手を煩わせるまでもない。時が来れば吾から話そう」

三善先生「そうですか・・・では、お任せします」

三善先生「ファイテン。両面宿儺の前に、まずはかくりよの門から頼みたい」

ファイテン「前に、ってことは、両面宿儺とかくりよの門は・・・」

三善先生「ああ、その二つに直接の関係は無い。影響は否定できんがな」

ファイテン「まずは門からですね、わかりました!場所はどこになりますか?」

三善先生「【飛騨国】にある【八賀郷】だ。すでに先遣隊も向かっている」

三善先生「あの地方に開いた門も恐らくはこれで最後だ。気を抜くなよ」

ファイテン「はい!」

【飛騨国 八賀郷】

飛騨八賀郷

ファイテン「何だか、これだけ見晴らしのいいところも久しぶりだねー」

百花文(今までかくりよの門に縁が無かった土地だそうですよ)

百花文(そのせいか、どこかのどかな雰囲気すら感じますね)

ファイテン「かくりよの門はどこに開いたんだろう?」

百花文(報告では少し奥に見える山の麓だそうです)

ファイテン「また変わった場所に開いたんだね」

百花文(どうやら、先生の話ではその山にある神社に両面宿儺が【顕現・けんげん】したみたいですね)

ファイテン「なるほどね・・・」

百花文(それでは、先に進みましょうか)

ファイテン「行ってきまーす!」

先遣隊「両面宿儺を土地神として信仰している為か、我々が何を言っても耳を貸さぬ。今回は少しばかり、戦い難い相手かもしれん」

行商人「私はこのような身なりですから、あまり警戒されていないようです。流石に言葉は選んで話していますがね…」

村娘「かくりよの門は不安だけれど、きっとあの方が守ってくださるわ!」

村娘「ウチに何か用?何も無いけど、少し休むくらいならいいよ。門、閉じてくれるんでしょう?」

村人「かくりよの門閉じたら、帰ってくれないかね?」

村人「最近の不作を何とかして頂くために、神様のお供え物をこさえないとなー」

村人「最近、江戸の方から役人とか、怪しい連中が後を絶たなくてねぇ。別に俺達はおかしなことはしてねぇっての」

村の庭師「お参りに行くのに門は邪魔ですしね。閉じて頂ければ助かりますが、それ以上は…」

奉行人「俺は、美濃の方で仕事をしていてな。暇を貰って実家に帰ってきたが、皆明るい顔をしていて安心したぞ」

村人「きっと来年は豊作だな!だから…余計なことはしてくれるなよ?」

村人「蜘蛛…どうしたって?ここらは両面宿儺様がいらっしゃるから、蜘蛛どころか鬼だって怖かねぇや」

村娘「もう大丈夫だ!ってお父さんが言っていたの。どういうことかしら?」

【飛騨国 八賀郷 守護者前】

005.png

百花文(かくりよの門に到達したみたいですね)

ファイテン「こんなこと思っちゃダメかもだけど、割合とあっさりしてたねー」

百花文(あやかしは曲者が多かったですが、道順は素直でしたね)

ファイテン「ねえ文ちゃん。この村の人たち・・・」

百花文(そのことは、門を閉じた後に先生からお話されるそうです)

百花文(両面宿儺の顕現した社も、この先みたいですね)

ファイテン「どちらにせよ、この門を閉じないと、だね!」

百花文(守護者は【毛倡妓・けじょうろう】。これも伝承ではなく怪談からですね)

百花文(・・・理由はあまり考えたくありませんが、赤子を召喚するようです)

ファイテン「女の人のあやかしに、赤子の召喚、かあ・・・」

百花文(自分と赤子に害を成すとわかると、姿を変えるとのことでした・・・)

百花文(気をつけてください)

ファイテン「うん、わかった!」

【逢魔時退魔学園】

ファイテン 悪路 三善

三善先生「八賀郷のかくりよの門を無事に閉じたそうだな」

ファイテン「はいっ。えっと、両面宿儺はその更に先、でしたっけ・・・?」

三善先生「文から話を聞いているようだな。ああ、その通りだ」

ファイテン「その、先生・・・あの村の人たちって・・・」

三善先生「・・・やはり、歓迎はされなかったか」

ファイテン「門だけ閉じたら帰れ、と。もしかして、あの人たちも?」

三善先生「駿河蟲毒の社を思い出しているのだろうが、それは違うな。あやかしに襲われたり、支配されたという報告は無い」

ファイテン「それなら、どうして・・・」

悪路王「そのことは、吾が説明しよう。まず、報告だけは済ませておけ」

ファイテン「あっ、はい!」


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