【尾張国 御囲堤(おかこいつつみ)】
百花文(この御囲堤は、巨大な堤防です。尾張国側の・・・)
百花文(この堤防が築かれたときより、尾張と美濃の対立があったそうです)
ファイテン「ずっとずっと昔から、対立は起こっていたんだね」
ファイテン「かくりよの門と、関係なく・・・」
百花文(美濃側の堤防を作るときも、尾張より高くしてはならない。そんな話も伝えられているそうです・・・)
ファイテン「門を閉じても、昔からの対立は解決しない、か・・・)
百花文(・・・・・・)
百花文(かくりよの門とは、別のこと、ですよ!)
ファイテン「うん・・・ありがとうね、文ちゃん!」
ファイテン「昔のことはわからないけど、私にできることは、澄姫を追うためにも、かくりよの門を閉じること、だね!」
先遣隊「川沿いに進めば山へ入る。山でも川沿いに進めば辿り着ける筈だ」
尾張の町人「ここいらは昔っから水害に悩まされていてね。これから作られる堤で解決すればいいんだけど」
尾張の町人「夜、家ん中で静かにしてたら変な声が聞こえるらしいぜ。声がするだけってのも不気味な話だ」
行商人「木曽川を上ると山の中に入ります。少しばかり険しい道になると思いますよ」
陰陽師?「顔は合わせないけれど、話がしたいみたいよ。素直じゃないんだから、ね?」
【尾張国 御囲堤 守護者前】
???「お前のせいだ、お前のせいだ・・・」
???「堤防があと少し高ければ。せめて高さが並べられれば。これでも低かった。もっと向こうに流さねば」
???「川を挟んで残る、両岸それぞれの想い」
ファイテン(この声は・・・)
澄姫の声「ねえ、ファイテン。でもね、不条理だけど・・・水害を防ぎたければ、向こうよりも高く堤防を築けばいい」
澄姫の声「同時に溢れるより、片方に流せ。これ、間違いじゃないのよね」
ファイテン「・・・澄姫・・・」
澄姫の声「二つのものは救えない。片方しか救えない。どちらも救いたければ、救えるだけの力を示せ」
澄姫の声「私は・・・私は」
ファイテン「一体、何を・・・?」
澄姫の声「いずれにせよ、門は閉じなければならない」
澄姫の声「じゃあね。久しぶりに声が聞けて、嬉しかった・・・」
・・・・・・
百花文(・・・・・・さん、ファイテンさん!)
ファイテン「文ちゃん・・・」
百花文(急に念話が通じなくなって・・・大丈夫ですか?)
ファイテン(そっか。悪路王さんの力を少し貰ってるんだっけ)
ファイテン「ううん。大丈夫。ちょうど今、かくりよの門だよ」
百花文(それならいいんですが・・・いえ。詮索は後で、ですね)
百花文(【ヤロカ水】は水属性と呪属性を得意としています。物理攻撃は無いそうですので、気を付けてくださいね!)
ファイテン「ん・・・わかった。それじゃ・・・行くよ!」
【逢魔時退魔学園】
百花文「おかえりなさい。ファイテンさん。心配したんですよ」
吉備校長「戻ったか。念話が途切れたと聞いたが・・・会ったのか?」
ファイテン「んー・・・まだ会っては、いないです」
吉備校長「そうか・・・これより先も、これまで通り門は開いて行くじゃろう。それは土御門とて同じ。力を蓄えながら追うと良い」
ファイテン「そうですね。今無理に追いかけても、きっと、手は掴めません」
ファイテン「それなら、かくりよの門を利用して、力をつけながら追いかけます!」
百花文「かくりよの門を利用、ですか。何だか凄いですね・・・」
吉備校長「まあ、間違ってはおらんな。その先に土御門はおる。そして、力が並んだときこそ追いつけるじゃろうからな」
ファイテン「はいっ!」
・・・・・・
吉備校長「悪よ、オヌシの見立てではどうじゃ?」
悪路王「折につけて懐かしいと言ったが、今は少し感想が違う」
悪路王「どのように落着するか、見届けたくなった」
悪路王「事によっては、あの二人が刃を交えることもあろう」
吉備校長「そうか・・・」
悪路王「力はいずれ拮抗しよう。門を追う以上、邂逅(かいこう)はそのとき」
吉備校長「オヌシはどれほどと読んでおる?」
悪路王「そうだな・・・」
悪路王「木曽妖怪印章の範囲内。だが、すぐではない・・・」
悪路王「かの古戦場」
吉備校長「じゃろうな。古戦場のかくりよの門・・・」
悪路王「美濃国関ヶ原。恐らくは、な」