【逢魔時退魔学園】
吉備校長「陸奥地方での修行、ご苦労じゃった。これならば、あやつとの謁見も大丈夫じゃろう」
ファイテン「あやつ・・・謁見?」
吉備校長「陸奥国には古代より伝わる伝承の鬼がいる。いや、鬼と言って良いかはわからぬがな」
吉備校長「名は【悪路王】聞いたことくらいはあるじゃろう?」
ファイテン「はい」
百花文「悪路王。鬼と同義にされることもあります。その由来については・・・」
吉備校長「諸説あるな。だが、あやつに限っては由来など意味を持たん。陸奥国には、力ある者にしか見えぬ、辿り着けぬ城がある」
吉備校長「ここまで修行を重ねてもらったのも、全てはこのためじゃ。大まかな場所は地図に記しておこう。まずは、現地へと向かってほしい」
ファイテン「わかりました。・・・あの、澄姫は?」
吉備校長「つい先ほど、既に発った。なんでも聞きたいことがあるらしくてな」
吉備校長「オヌシらの代では、ここまで到達したのはオヌシと土御門だけじゃ・・・いや、ここ数代でも久しぶりじゃな」
ファイテン「そっか。先に行っちゃいましたか。最近突っかかってくれないんですよね」
吉備校長「土御門には何か考えがあるのじゃろう。そんなに寂しそうな顔をするな」
ファイテン「いえ、寂しいということは別に」
吉備校長「・・・少しからかったつもりじゃったが、オヌシたまに凄く薄情じゃの・・・」
百花文(そうでもない、と思いますが、黙っておきましょうか)
吉備校長「まあ、それはよい。悪路王の住居は地上と地下に分かれておる。まずは地上部分を進んでくれ。ここで手間取るようでは、地下は辛かろう」
ファイテン「はいっ!」
【陸奥国 降雪城址(こうせつじょうし)】
ファイテン「雪が積もっているね、文ちゃん。陸奥国で初めて見る雪かも」
百花文(降ってもいないのに積もる雪。土御門さんの足跡もないですね)
ファイテン「あっ、本当だ。ほらほら。足跡が残らないの!」
百花文(普通の雪ではないのでしょう。これも悪路王の力、かもしれませんね)
ファイテン「ちょっと面白いねーって・・・」
ファイテン「わわっ!!」
(ドシャッ!)
ファイテン「いたたたた・・・ちゃんと滑ることは滑るみたいだね!」
百花文(・・・あやかしとの戦闘中じゃなくて本当に良かったです・・・)
百花文(現れるあやかしは、灯篭のあやかしと矛担(ほこかつぎ)と呼ばれるものです。小篭火(しょうろうか)は打と水が弱点ですが、火の攻撃を持ち。矛担は単体攻撃とはいえ、槍の技を使用してきます)
百花文(式姫の耐性と、攻撃属性に気を付けてくださいね)
ファイテン「見た目通りと言えばその通りなのかな。行ってくるねー」
先遣隊「悪路王の元には様々なあやかしが集まっている。体力の消耗には気を付けて進めよ」
【陸奥国 降雪城址 守護者前】
土御門澄姫「あら、ファイテンじゃない」
ファイテン「そういうあなたは澄姫!」
土御門澄姫「気勢あがってるわねえ。何かあったのかしら?」
ファイテン「澄姫と会えて嬉しい、じゃダメかな!」
土御門澄姫「ぐっ・・・だ、ダメじゃないけど。またどうし・・・」
ファイテン「いやー。入り口以外誰もいなかったし、やっぱり少し寂しいかなーって」
百花文(静かな上に、景色も白ばかりでしたしね)
土御門澄姫「まあ、そうでしょうね・・・普通の人にはこの城がわからないみたいだし」
土御門澄姫「ここの守護者は【戦鬼】まさしくその名の通りに攻撃一辺倒の鬼よ」
ファイテン「ってことは、澄姫はもう討伐したのかな?」
土御門澄姫「報告も終えて、今から地下に潜るところよ。戦鬼を倒せば、道が開けるわ」
ファイテン「そっか。それじゃ、頑張らないとね!」
土御門澄姫「私は先を急ぐけれど、気を付けるのよ。それじゃ、ね」
ファイテン「う、うん・・・」
ファイテン「どうしよう文ちゃん!」
百花文(はっ、はい?)
ファイテン「澄姫がなんだかちょっと変だよ!」
百花文(聞きたいことがある、と言っていましたしね。ファイテンさんも、先に進みませんと)
ファイテン「そうだね。決して油断せず・・・!」
【逢魔時退魔学園】
三善先生「戦鬼は討伐できたか?」
ファイテン「あっ、三善先生。戦鬼なら、討伐してきました!」
三善先生「では、地下への穴が空いているはずだ。そこから先に進めるぞ」
三善先生「・・・私から語れることは多くない。とにかく、自分の目で確かめてきてくれ」
ファイテン「はいっ!」