第37章 手を取り合うために 壱

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【逢魔時退魔学園】

ファイテン 校長3

吉備校長「…来たか」

ファイテン「呼び出し、いつも急ですね。今回は次の遠征先について、でしたっけ」

吉備校長「そうじゃな。それに加え、ワシの方でやりたいこともある」

ファイテン「校長先生が…?」

吉備校長「学校の裏手に来てくれ。文も、同行させた上でな」

【逢魔時退魔学園 裏手】

百花文 ファイテン 悪路王 吉備泉

百花文「私にも話ですか?伝心で聞いているだけではなく」

吉備校長「ああ。ちと段取りをする必要があってな」

ファイテン「それは、次の遠征先に向かうためにですよね?」

吉備校長「正確に言えば少し違うか。悪よ__」

ファイテン「悪路王、さん?」

吉備校長「四国に遠征させた理由。それだけではない__」

吉備校長「まだ話しておらぬことや、しておかねばならぬこともある」

悪路王「吾と、泉がお前と共に歩む資格を失わぬようにな」

吉備校長「八重、こちらに」

文 ファイテン 校長 三善2

三善先生「はい。お二人にはこちらを。ファイテンと百花には、これを」

ファイテン「お酒の入った徳利と、杯…ですか?」

吉備校長「般若湯じゃな。決して酒ではないぞ」

ファイテン「いや、その。私と文ちゃんはまだお酒を飲んだことが__」

三善先生「安心しろ。お酒は二人にだけ。お前たちのそれは水だ」

吉備校長「般若湯じゃと言うのに…」

三善先生「この流儀は私にも少しわかりますが…面倒ですね、お二人とも」

百花文「結局、話が見えないのですが、どういうことなんでしょう?」

三善先生「そうだな。まずは私のところに来てくれ。少し話したいことがある」

………

文 ファイテン 三善

三善先生「この前の校長先生のことや、今回の四国遠征の結果__事が起こりすぎて、私にもまだ整理がついていない」

ファイテン「八重さん…」

三善先生「怒るべきか、悲しむべきか。私ができることは他にあるのか」

三善先生「そればかり考えて、気持ちの整理をつけられなくてな」

百花文「私も、同じです。やっと、校長先生が話をしてくれたと思ったのに」

三善先生「私はいつ、校長先生が、いや、泉さんが入れ替わったのか__」

三善先生「まったく気づけなかったよ。大門から一人生きて帰ってきたのかと」

三善先生「そう思っていたら、先の告白。誰に怒るべきだったのか」

ファイテン「……」

三善先生「今の校長先生や、過去の泉さん。二人に言いたいことは山ほどあるが」

三善先生「今回、あの人も迷っていることが。弱っていることがわかった」

三善先生「今まで以上に、な」

三善先生「私はあの人の補佐を続けるよ。ファイテンのためになると信じて」

三善先生「校長先生から頼まれた仕事がある。幕府との橋渡しを頼まれたのだ」

三善先生「百花、私を手伝ってくれ。私は学園から一時離れなければならない」

三善先生「今まで以上にファイテンを助け、私が居ない間を安心させてくれ」

百花文「…はいっ!」

三善先生「では、乾杯だ。杯を合わせるだけだがな」

(チィ…ン)

ファイテン「あ、あの。私も…!」

三善先生「ああ、そうだな」

(チィ…ン)

三善先生「私だけではなく、今後、話が終わったら校長先生に報告を頼んだぞ」

三善先生「誰と話をしたかをな」

ファイテン「わかりました!」

手を取り合うために 弐に続く


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