第13章 伊豆:網代漁村

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【逢魔時退魔学園】

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三善先生「現状に満足せず、力を磨いているようだな。新たなかくりよの門が確認されたぞ」

三善先生「今回ひらいた門は【伊豆国】の【綱代漁村】だ」

百花文「海の近くですか、となるとまた・・・」

三善先生「ああ、出現するあやかしには蟹が確認されている。蟹への対処は覚えているな?」

ファイテン「はい、叩き割るか、こんがり焼いちゃえ、ですね!」

三善先生「ああ、そうだな」

三善先生「守護者は【大蟹】どんなあやかしかは、説明するまでも無いな」

百花文「随分と直接的な名前ですね。何か、一般的な伝承を元にしたのでしょうか?」

三善先生「察しがいいな、その通りだ。この大蟹は【猿蟹合戦】の蟹と言われている」

ファイテン「へっ!?猿蟹合戦って、あの絵巻物ですか!?」

三善先生「昔、ファイテンに読んだこともあったな。懐かしい。その猿蟹合戦だ」

三善先生「広く知られている伝承のせいか、力も相応だ、気を付けるように」

ファイテン「はーい。わかりました!」

【伊豆国 綱代漁村(あじろぎょそん)】

伊豆綱代漁村2

ファイテン「とぉーくに海が見えるよ、文ちゃん」

百花文(海と山の合わせ技ですか・・・高低差も激しそうですし、私は・・・)

ファイテン「それでも、いつかは一緒に旅してみたいね」

百花文(そうですね。ありがとうございます)

ファイテン「・・・血を受ける袋は必須かな・・・」

百花文(ひどっ・・・ゴフッ!)

百花文(と、とにかくですね、そちらでは移動に船も使うらしいです。地元の漁師さんに話をつけた方が・・・)

ファイテン「船かー、久しぶりだなー。嵐でも来ない限りは何とかなるかな」

百花文(って、えっ!?海で船を操るんですか?)

ファイテン「うん、そうだよ。こう見えても小さい頃から、先生に鍛えて貰ってたしね!」

百花文(はぁ・・・ファイテンさんなら、どこでも遠征できそうですね)

ファイテン「そうかもねー。でも、どんな場所でも補佐をお願いね、文ちゃん!」

百花文(はいっ!)

先遣隊「この村は大きく分けて2種類のあやかしが出るらしい」

村娘「あやかしの音がうるさくて、ぜんっぜん眠れないの!」

先遣隊「この先にある洞窟内では、のぶすまも確認されている。十分に気をつけてくれ」

漁師「沈めたり傷つけたりしなきゃ、船を使っても構わねえよ。どうせ漁なんてできねえしな」

村娘「干物の匂いが気になるかしら?けど、食べるととっても美味しいの!」

村人「かくりよの門が滝の裏にできたんだが、誰も近寄らない場所でまだよかったよ」

村娘「畑を荒らさないでくれて、ありがとうございます。陰陽師様の無事を祈っていますね」

先遣隊「良くここまで辿り着いたな!やはり、大したものだ・・・」

【伊豆国 綱代漁村 守護者前】

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ファイテン「さ、さすがに足が痛い・・・」

百花文(畑に海辺に洞窟に・・・広かったですね)

ファイテン「この洞窟、鋏で斬ったような跡がある。鋏の攻撃には気を付けないと、かな」

百花文(そうですね。また、猿蟹合戦の蟹ならば、伝承通りの攻撃をしてくると思います)

百花文(焼け栗、蜂、臼、昆布での転ばし。それぞれ異なった効果になるでしょう)

百花文(蟹の持っている自然治癒力も気になります。とにかく、注意してくださいね)

ファイテン「うんっ。わかったよ。それじゃ、絵巻物の蟹さんに会ってくるね!」

【逢魔時退魔学園】

ファイテン 三善

三善先生「漁村から戻ったか。少しだけ干物の匂いが残っているな」

ファイテン「そうですかね・・・?温泉の時と違ってあまり実感できないような」

三善先生「綱代で取れるカタクチのみりん干しは絶品だ。機会があれば食べてみるのもいいだろう」

土御門澄姫「土御門、伊豆国より戻りました」

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ファイテン「あっ、澄姫も今だったんだね。すんすん・・・ふむ」

土御門澄姫「ちょ、ちょっと何してるのよ!」

ファイテン「やっぱり気づかないなぁ、干物の匂い」

土御門澄姫「いきなり失礼なこと言わないでよ!全くもう」

三善先生「2人とも、順調に力をつけているようだな。良いことだ。お前たちなら挑戦してみてもいいだろう。富士龍神の祠の場所を教えておく。力試しだと思って行ってこい」

三善先生「私とて膝をついたことのある龍神だ。挑むのであれば、十分な準備をしておくこと」

三善先生「常陸国で確認された新たな舶来の祠に行くのもいいかもしれんな」

ファイテン「はいっ」

土御門澄姫「あたしの方が先に討伐してやるんだから!」

ファイテン「うん。まあ、私は・・・急がないでいいかな。澄姫は、頑張ってね」

土御門澄姫「ぐうぅ・・・見てなさいよ!」

百花文(本当にうまーくいなしますねえ。ファイテンさんは)

・・・・・・

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三善先生「土御門は行ったようだな。校長先生から伝言がある。新たな【常夜の境】が確認されたそうだ。ここより先に進む前に、鍛錬するのもよかろう」

ファイテン「あれっ、澄姫には話していないんですか?」

三善先生「土御門だけではない。あの地に遠征しているのはお前だけだ」

百花文「ええっ!そ、そうなんですか?」

ファイテン「まあ、そうじゃないかなーと、とは・・・他に誰も見かけませんし・・・」

三善先生「校長先生は何か考えがあってのことだろう、とは思うが…ファイテン。あまり常夜に深入りしすぎるなよ?」

三善先生「なにか、良くない気がするのだ。校長先生を信頼しない訳ではないのだが・・・」

百花文「そうですね・・・私も少し気になりました。転送の際も、注意するようにします」

三善先生「妙な言葉になってしまったが、気をつけてくれ、と言うことだ。今はまだまだ鍛錬が必要なのは変わりないしな」

ファイテン「はーい」

ファイテン(八重さん、ちょっとだけ怖い顔してたな・・・)


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