第16章 霊山:三途下流

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【逢魔時退魔学園】

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三善先生「陸奥国には霊場とされる場所も多く、また各地に伝承も色濃く残っている」

三善先生「しばらく試練はかくりよの門だけではなく、ファイテンの修行のものになるぞ。試練は陸奥国にある霊山で行われる。三途の川があるとされる場所だな」

百花文「三途の川・・・此岸(しがん)と彼岸(彼岸)この世とあの世を隔てているとされる川ですね」

ファイテン「物語とかで読んだことがあります。子供が石を積み上げる、とも」

三善先生「そうだな、そして鬼がその石を崩す。延々と石を積み上げる苦を受ける、とな」

三善先生「いつからこんな言い伝えが広まったかは定かではないが、本来であればその土地だけの伝承であったものが、全国に広まっている」

三善先生「かくりよの大門が開いて以降、溢れた瘴気が集まる場所としては適当に過ぎるな」

三善先生「相応の力をつけた陰陽師が出向けば、あやかしが出現すると言われている」

百花文「力が無ければ・・・?」

三善先生「なにか力は感じるかもしれんが、ただの山、と思えるだろうな。だが、今のファイテンであれば、山は全く別の姿を見せるだろう」

三善先生「さて。今回の試練の内容は、陸奥霊山に姿を現すであろう【鬼】を討伐することだ」

ファイテン「鬼は結構これまでも討伐してきたような・・・」

三善先生「そうだな。下野の百々目鬼だけではなく、祠の守護者とも戦ってきているだろう。気をつけて行ってきてくれ」

ファイテン「はいっ!」

【陸奥霊山 三途下流】

霊山1

ファイテン「色が少ないって言うのかな。不思議な感じがする・・・」

百花文(火山の噴火によって、岩に覆われているみたいですね)

百花文(地獄に通じるとされる寂しい風景と、近くにある極楽と呼ばれる湖畔。その二面性が、この霊山の伝承をさらに深めているのかもしれませんね)

ファイテン「二面性かー。力を貸してくれる式姫と、あやかしも同じようなものなのかな」

百花文(そう言われているむきもありますが、・・・私にはまだわかりません)

百花文(そちらのあやかしは煙々羅の他にも、主を失った管狐が出てくるようです)

ファイテン「管狐。狐を操るとされる霊能者が使役するもの、だっけ」

百花文(はい。飯綱使い、とも呼ばれているそうですね)

百花文(死んだ者はその山へ。主を失った管狐もその山へ。そうした言い伝えかもしれません)

ファイテン「式姫は・・・主を失ったらどこへ行くんだろう・・・」

先遣隊「この周辺一帯は入り組んではいるが、目的地は近い。地図をよく確認して進むといいぞ」

侍「至る所に地蔵が祀られているな。三途の川の子供を救うと言われているが・・・こちらも救って欲しいものだ」

先遣隊「こちらに来るということは迷ったのか?」

旅人「カラスが俺を見ている・・・気がする。妙な威圧感を感じるんだよな・・・」

村娘「この先の川には渡る為の橋が架かっているの。橋の向こうはあの世って聞いたけど、本当かしら?」

先遣隊「修行か。ならば試練を出そう」

村人「お地蔵様にお供えする神酒を切らしてしまってな。悪いが調達してきてはくれないか?」

【陸奥霊山 三途下流 守護者前】

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ファイテン「鬼がでてくる、と思っていたけれど、ここまででは出会えなかったね」

百花文(私も身構えていましたが、管狐と煙々羅だけでしたね)

???(・・・何故、縛リ付ケル・・・)

ファイテン「えっ!?」

百花文(・・・っ、今度は私にも聞こえます!)

???(出テユケ、出テユクナ)

???(勝手ニ扱ワレ、死シテ尚・・・)

ファイテン(この【鬼】って、ひょっとして・・・!)

???(ドコヘ・・・ドコヘ・・・)

【逢魔時退魔学園】

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ファイテン「ただ今戻りました」

三善先生「何か聞きたそうな顔をしているぞ」

ファイテン「はい。いままでのあやかしと違い、大鬼は・・・何か話そうとしていました」

ファイテン「結局襲い掛かられてしまいましたが、それが気になります」

三善先生「あの遠江のときとは違い、今回は百花も聞いたのか?」

百花文「はい。私にもはっきり聞こえました」

三善先生「そうか。・・・ファイテン。陸奥の火山に遠征する前だが、鬼の伝承が多い理由、覚えていると言ったな?」

三善先生「討伐した【大鬼】が喋った理由もそこにある。鬼伝承の成り立ちを、今一度思い出しておけ」

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