【逢魔時退魔学園】
三善先生「次の試練は【安房】にある【乙浜漁村】になる。守護者は【不知火】海に浮かぶ火の妖怪だ」
ファイテン「はい。わかりました」
三善先生「その名の通り火属性を持っていて、広範囲に火を散らす術も確認されている。式姫の進化や合体。装備の強化を万端に行っておくこと」
ファイテン「はい、行ってきますね!」
ゼッピン「少し、良いか?」
ファイテン「ゼッピンさん・・・どうしたんですか?」
ゼッピン「うむ。そろそろお前も自らの力量がわかった頃だと思ってな」
ファイテン(あれ、なんだか雰囲気が・・・?)
ゼッピン「式姫と共に戦う陰陽師だが、自らの力に不足を感じたことはないか?」
ファイテン「えっと、それは・・・」
ゼッピン「よいか、陰陽師に足りない部分を埋めるのが式姫ではない。そして逆に式姫に足りない部分を埋めるのもまた陰陽師ではない。常に互いの欠けた部分を補い合う。そんな関係だ」
ファイテン「は、はい・・・」
ゼッピン「今後、自らの職業を変えたくなったらワシのところに来るがいい。転職に必要な証を授けてやろう」
ファイテン「わかりました!ありがとうございます!」
ゼッピン「それと、魚も忘れぬようにな」
ファイテン「大丈夫ですよーだ」
ゼッピン(しかし、もう安房への遠征とは・・・あの娘も、ここまで大きくなったか・・・)
ゼッピン(吉備よ、お前の悲願がかなうのも、そろそろかもしれんな)
【安房 乙浜漁村】
ファイテン「潮の匂いとベタつく風、なんというか海だね」
百花文(ええ。私も今、自宅待機の方位師で本当に良かったと思っています)
ファイテン「あの!そんな場所に遠征しているのが私なんですが!」
百花文(苦手なんですよね、海って)
ファイテン「確かに、得意そうじゃないけど・・・」
百花文(そちらのあやかしは、水辺だけあって蟹が多いそうです。殻が固いのと、傷つくと自然に少しづつ回復していくみたいですね)
ファイテン「殻が硬いなら・・・打撃で叩き割るか、術で攻撃か、だね」
百花文(はい。それと数は少ないですが、強力なあやかしもいるそうですよ)
ファイテン「そっちも気をつけないと、か。ありがとう!」
先遣隊「この村の道は入り組んでいる。気をつけておいたほうがいいぞ」
村人「祠の周りまであやかしが来るとは、驚いたなぁ」
村娘「海から蟹のあやかしが上がってくるなんて・・・」
村娘「分かれ道は良く考えて選ばないと、村人でもまよってしまいます」
村人「この先には、古くから村を見守ってくれていた鳥居があったんだが・・・」
先遣隊「この近くから門の気配がする・・・気合を入れないとな」
【安房 乙浜漁村 守護者前】
百花文(こちらの守護者は【不知火】だそうですね)
百花文(海の沖に突如火が浮かび、徐々にそれが増えるあやかしです)
百花文(人に危害を加えた記録はありませんが、漁の際には邪魔になりそうですね)
ファイテン「人に危害を・・・かぁ。確かに、あやかしが危害を加えたって話は余り聞かないね」
百花文(耕作や漁ができないことは生活ができないことですし、かくりよの門は放置できませんね)
百花文(それに、いくら安心と思っていても、目に見えたり音が聞こえるのは・・・)
百花文(ゴフッ!)
ファイテン「わっ、文ちゃんが想像しただけで血を吐いた!討伐したらすぐに戻るね!」
ファイテン(澄姫は、いないのかな?進化した式姫もいるだろうし、私より早いと思ったんだけど・・・)
【逢魔時退魔学園】
三善先生「乙浜漁村の守護者を倒したようだな」
ファイテン「はい、三善先生」
百花文「無難に討伐したのですから、あまり怒らないであげてくださいね・・・?」
三善先生「あの時は私も言いすぎた。だがファイテンは調子に乗りやすいからな。このくらいがちょうどいい」
百花文「ふふっ。そうかもしれませんね」
ファイテン「あのー。できれば本人の前でそういう話は・・・」
三善先生「耳が痛いのなら、言われない努力をすることだぞ」
ファイテン「はーい」
三善先生「乙浜漁村の守護者を討伐したことで、新たに封印されし祠が見つけられるはずだ。一段落したら確認しておくといいだろう。ではこちらからは以上だ。これからも精進を」
ファイテン「事前に情報もあった、かあ」
百花文「どうしました?また考え事ですか?」
ファイテン「ちょっとね・・・どうして守護者の情報が正確に伝わっているんだろう」
百花文「雷獣の手落ちもありましたし、先遣隊からの報告ではないでしょうか」
ファイテン「それもあると思うけど・・・それに、門を閉じてもあやかしが減ってないのよね」
ファイテン(どういうことなんだろう、これは)