【逢魔時退魔学園】
三善先生「突然だが、先ほど二通の便りが学園に届いてな。内容は、新たなかくりよの門の確認と、幕府から学園への依頼だ」
ファイテン「かくりよの門が開く、と聞くのも久しぶりな気がしますね・・・」
三善先生「そうだな。近頃は陸奥地方で力を磨いていた。ここから先は、山城国を目指すことになる」
百花文「新しく開いた門と言うのは、三河国辺りでしょうか?」
三善先生「確かにここから山城国を目指すのであれば、東海道を進んでいくことになるが、今回開いた門は【越後国】だ。幕府の依頼も、ちょうどそこが目的地だな」
ファイテン「越後国ですね、わかりました。えっと・・・幕府の依頼も、ですか?」
三善先生「場所が同じだから、という訳でもないが、ファイテンに頼みたい」
三善先生「それと言うのも実は、越後国にかくりよの門が開いたのは今回が初めてでな・・・どうやら、ファイテンに反応しているらしい」
百花文「えっ・・・ファイテンさんに?」
三善先生「そうだ。先遣隊を遣って、現地での情報を集めているがほぼ間違いないだろう」
ファイテン「先生。あの・・・澄姫は?」
三善先生「土御門は実家、土御門家に用があるらしくてな。一旦学園を離れている」
ファイテン(この間のこと聞きたかったけど、それはまた今度かな・・・)
三善先生「幕府からの依頼も伝えておこう。現地で確認されたあやかしに【大首】がいる。この大首がどこからか大量に発生していてな。その場所の特定と討伐になる」
三善先生「かくりよの門と無関係とは思えんのでな。ファイテンに白羽の矢が立った。まずはかくりよの門の前に、こちらの依頼を頼んだぞ」
ファイテン「はーい」
【越後国 三島漁村】
ファイテン「漁村、と言う割には随分浜辺が遠いねー。それと、随分川の流れが急に見えるよ」
百花文(山間部にある漁村、と言うだけでは綱代漁村と同じかと思いましたが、気候のせいか、地域によって、かなり異なるみたいですね)
ファイテン「そうだね。今まで色々遠征したけれど、同じ場所なんてほとんどなかったしね」
百花文(まずは幕府からの依頼である【大首】の大量発生を突き止めましょうか。山から浜に下ってくるそうなので、この辺りを重点的に調べてみましょう)
ファイテン「りょうかーい」
先遣隊「川を下れば海に出れるが、まずはこの辺りにあやかしが現れた原因をさがしてくれ」
旅人「大首というあやかし、特に何もせずにいることが多いな」
村人「大首・・・だっけ?佐渡の方でもいるとかいないとか」
村人「このたらい舟か?以前、佐渡の漁師から教えてもらって、漁の他に川くだりにも使うようになったんだ」
村娘「この先の滝裏に洞窟があるの。あそこは涼しいから、暑い日は長居しちゃうのよね」
村人「海の方へは歩いていけないこともないけど、物凄く遠回りになっちまうから、皆、行きはたらいに乗って川を下っているよ」
村人「海の方におおきなあやかしがいるんだ。おかげで海に出れなくて、佐渡の方にもいけない」
村娘「かくりよの門?お父さんが言っていた事かな?海の方にあるって聞いているわ」
先遣隊「滝の裏は大首の気配はあまり感じられないな・・・原因は別の所にあるやもしれん」
【越後国 三島漁村 強敵前】
ファイテン「瘴気からして、明らかにここだね」
百花文(・・・・・・)
ファイテン「あれ、どうしたの文ちゃん」
百花文(明らかすぎるんです・・・これだけの瘴気なら、普通の人も気づいていいのに)
ファイテン「気づくかも、だけど。危なくて近寄れないんじゃないかな?」
百花文(それは、そうなんですが・・・・・・)
百花文(いえ、私が考えていても仕方ないですね。大首が大量出現していることは問題です)
ファイテン「まだ、この辺りの人に危害は出てないけれど、それでも放っておけないしね」
百花文(あの・・・気をつけて、くださいね?)
ファイテン「うんっ。任せておいて!」
【逢魔時退魔学園】
百花文「ファイテンさんが大首の発生源を突き止めました。場所は・・・地図のここですね。定期的に人を遣るようにしてください」
三善先生「ああ、済まない。ご苦労だったな。二人とも」
ファイテン「次から次へと出てきたので・・・さすがに、疲れました・・・」
三善先生「少し休憩を取ったら、次はいよいよかくりよの門へ進んでほしい」
百花文「・・・・・・」
三善先生「百花。話があるようだが、今は出来ることを頼む」
百花文「・・・・・・わかりました」