第32章 陸奥:悪路の霊殿

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

【悪路の霊殿】

ファイテン 阿弖流為

悪路王?「…来たか」

ファイテン「…はい、来ました」

悪路王?「今の吾はお前に憑いていたものではない。既にその眼は取り込んでいる」

阿弖流為「受肉も為った今、伝承にある通り阿弖流為(あてるい)を名乗ろう」

阿弖流為「本当の吾など、吾自身ですら生まれの知りようがない」

阿弖流為「都合の良いように使える名があれば、それを名乗るだけよ」

ファイテン「……」

阿弖流為「ここに来たと言うことはこれを取り戻しに来たのか?」

阿弖流為「破れかけた吉備泉の型紙を…」

ファイテン「それもあります。いえ、きっと__伊邪那岐様も文ちゃんも、それが目的だと思っているでしょう」

ファイテン「悪路王、いえ…阿弖流為。あなたも」

阿弖流為「…ふむ。違う、というのか。では力を得た吾を止めに来たか」

ファイテン「それもあります。私がその原因であれば、止めなければならないから」

ファイテン「大門を目指す為にも」

阿弖流為「…その結果、己が消えようともか?」

ファイテン「……」

阿弖流為「わからんな。確かに吾は一目連を利用し、お前を通じて力を得た」

阿弖流為「ああ、あの小娘。土御門を利用したこともあったな」

阿弖流為「お前がここに来た理由はなんだ。これらの意趣返しか?」

阿弖流為「だとすれば、自殺の手助けをするつもりはない。大門を傷つけるつもりもない」

阿弖流為「わかったら今すぐ帰…」

ファイテン 阿弖流為

ファイテン「聞けっ!悪路王!」

ファイテン「私は全てを確かめるために歩む。その先に何があっても!」

阿弖流為「……」

ファイテン「あなたは、以前こう言った」

『不安に思えば吾を掴み寄せよ。そのくらいの手助けは__』

ファイテン「私はそんな手助けは要らない。施される助けは必要ない」

ファイテン「…あなたが__」

ファイテン「もしあなたが私を助けたいなら、お前が自分で歩いて来い!」

ファイテン「私を掴み取って見せろ!私はお前に喧嘩を売りにきたっ!」

………

………………

………………………

???「ふ…ふふ…」

???「は、はははははははっ!そうだ、それでこそだ」

???「それでこそあの女の娘。泉の親友の娘よ」

???「いや、そう呼ぶのは相応しくない。それでこそファイテンよ」

ファイテン(【泉】って呼んだ…と言うことは…)

???「良いだろう。その喧嘩買ってやる。鬼は人からの挑戦は断れぬもの」

悪路王 ファイテン 阿弖流為

ファイテン「悪路王さん!」

阿弖流為「…機会を伺っていたとは思ったが、賭けに勝ったということか」

悪路王「抜かせ、吾よ。お前は鬼のくせに策を弄しすぎた」

悪路王「人に触れたせいか、鬼と呼ぶには小さく、醜くなったものだな」

阿弖流為「ただの目が何を言うか。だが__」

阿弖流為「いくつか吾から盗んでいったな。刀と、鬼産みを」

悪路王「槍は姿を変え、守りから攻めに。刀も姿を変え、攻めから守りに転じた」

悪路王「助けなければならない奴がいたのでな。槍よりも刀を必要としたのよ」

悪路王「それに、感謝して欲しいものだ__」

悪路王「泉を不意打ちしたこと、後悔しているのだろう。鬼が勝ちを騙しとったことを」

阿弖流為「……」

悪路王「既に鬼神となった今も、そのくらいの想いは残っているのは知っている」

悪路王「そうでなければ、ファイテンの話を聞くこともなかったであろうしな」

阿弖流為「自分相手に偽っても仕方あるまい。鬼の流儀を汚した穢れ、否定はせぬ」

悪路王「だが__吾とファイテンに勝てばその穢れをそそぐことができよう」

阿弖流為「それはまた面白い。確かに、刃を向ける理由になろう」

阿弖流為「良いだろう。その喧嘩買ってやる。鬼と人から売られた喧嘩を買おう」

悪路王「行くぞ、ファイテン。吾に喧嘩を売ったのだ」

悪路王「その気概、見せて貰おう」

ファイテン「はいっ!」

【逢魔時退魔学園 裏手】

吉備泉 伊邪那岐2

吉備泉「…ここ、は…校舎裏、か…?」

伊邪那岐「ああ、そうだ。破れた型紙に己が力を注いでおいた」

伊邪那岐「あと数十年は持つであろう。力も何もかも削られはしたがな」

吉備泉「…そうか。ワシは悪路王に__」

吉備泉 悪路王2

悪路王「吾の本体が騙し討ったな」

吉備泉「…!」

悪路王「構えるな。吾は吾だ」

吉備泉「その姿…悪、か。オヌシは受肉したのか?」

悪路王「ファイテンと共に本体を討ってしまったからな」

悪路王「吾が本体となり替わった。肉も意識もそのままにな」

悪路王「だが分身として、アレはまだ残っている。いずれ何とかしなければならんな」

悪路王「ファイテンがまた相対するのであれば吾もまた力を貸すとしよう」

吉備泉「そうじゃ!ファイテンは!」

………

吉備泉 ファイテン2

ファイテン「ここにいますよ。校長先生」

吉備泉「全てを知った、のか。いや、聞くまでも無いか」

ファイテン「いいえ、全てを知ってはいません。知りたいとも思っていません」

ファイテン「だけど、話を聞きたいと思っています」

………

吉備泉「ワシの、吉備泉の記憶は既に元の式姫と入り混じっておる」

吉備泉「どこまでが自分の心か分からん。その上で、になるが__」

吉備泉「最初はまだ意識も強かった。主の望みを果たすために働いた」

吉備泉「陰陽師の地位向上。そして親友をこちら側へ呼び戻すため。大門に残された赤子を育て、成り代わらせるために…」

ファイテン「……」

吉備泉「だが、月日が経ち。弟子を失い。式姫の意識が薄れていくと共に、育っていくファイテンを見て、徐々に気持ちが変わっていった」

吉備泉「怖かったのじゃ。この気持ちがどこから湧いてきているのか」

吉備泉「そもそも、この気持ちは一体だれのものなのか!」

吉備泉「吉備泉の記憶を継ぎ、考え方も継いだ。だがこの気持ちはどこからくるのか」

吉備泉「吉備泉が生きていたらこう考えると、誰が保証できるというのか__」

吉備泉「恐れるまま、あやふやに動き、全てを傷つけてしまった…」

ファイテン「……」

吉備泉「ワシは一体誰だ?何を望めば、それはワシの気持ちと言えるのだ?」

………

ファイテン「…きっと、私も含めて。ここにいる人は__」

ファイテン「今のあなたを、吉備泉だと。校長先生だと思っています」

ファイテン「そう、私は思います。でなければ、ここに集まることも無かったと思うんです」

吉備泉 ファイテン 悪路王2

悪路王「…受肉してしまったのでな。暇をつぶす方法を探さねばならない」

悪路王「吾の酒の相手として、これ以上のものはなかろう」

吉備泉「…悪…」

悪路王「吾が途中で気づいても、そのまま差し置いていたことを忘れるな」

悪路王「懐かしかった。ただそれだけだ。理由もなく放置はせぬ」

………

吉備泉 ファイテン いざなぎ2

伊邪那岐「己としてはどういっていいかわからぬが、主ならこう言う気がしてならないのだ」

伊邪那岐「『よく頑張ったね、泉!』とな」

吉備泉「…あ、ああ…あぁ…」

伊邪那岐「己の主が認めるであろうこと、式姫が認めない理由はないな」

………

吉備泉 ファイテン 百花文2

百花文「一発殴ってやりたいと思っていましたが、少し保留にしておきます」

百花文「ファイテンさんにはまだ先に進む道がありますから!」

百花文「だからこの間、聞いた言葉を__」

(バシッ!)

百花文「これで、お返ししておきますね」

吉備泉「結局殴るのじゃな…だが、この痛み、忘れないでおこう」

………

吉備泉 ファイテン2

ファイテン「もし__」

ファイテン「もし私に思う所があるのなら、もう少しだけ手伝ってもらいますよ」

吉備泉「ファイテン?」

ファイテン「私は大門に進みたいんです。そのためにはあなたの力が要るんです」

ファイテン「許す許さないじゃない。そんなのは後から考えます」

ファイテン「今は、私に利用されて貰いますよ!」

吉備泉「…はは、はははっ!オヌシは、本当に…」

吉備泉(__にソックリじゃな。涙を流したくなるほどに…)

………

201502021737185e4

吉備校長「悪よ」

悪路王「なんだ」

吉備校長「酒には金がいろう。受肉したのであれば学園で教鞭をとってはどうだ?」

吉備校長「今ならちょうど人手がたりないのでな」

悪路王「鬼に対して、人に雇われろ、というのか」

吉備校長「鬼がいつまで人に居候する気じゃ」

悪路王「……」

………

ファイテン 伊邪那岐 吉備校長

吉備校長「伊邪那岐よ」

伊邪那岐「様付けではない、ということは今後も吉備泉として歩むと言うことか」

吉備校長「今は淡路島で、またかの地を守ってくれんかの」

吉備校長「時が至れば、大門へ共に参ろう。ファイテンと共に」

伊邪那岐「ああ、そうだな。己はそれが楽しみだ」

………

20150207234931207s

吉備校長「ファイテンに、文よ」

ファイテン「はい」

百花文「はい」

吉備校長「全てを話すには少し時間をくれ。オヌシらより前に__八重と、鈴には話しておかねばならんからな」

ファイテン「そうですね。そう、お願いするつもりでした」

吉備校長「大門へ至る知識全てを話そう。だがその前に、四国へ渡れ」

吉備校長「そこで手に入る力が__」

201502021737185e4s

悪路王「四国、か」

吉備校長「どうした、悪よ。何かあるのか?」

悪路王「本体と共にあった時に知ったのだが、そうだな、今伝えておこう」

悪路王「あの島、このままでは沈むぞ__」


« 前のページ / 次のページ»

勝利までの道のり(おまけ)

 今回のストーリーボスの強さは半端ではありませんでした。ラスト8000ほどまで削って、通常ならフィニッシュできそうなのですが、チートとも思える阿弖流為の全体攻撃に思考停止状態になりました。

 澄姫戦の再来ともいえる阿弖流為戦はとにかく盾が弱いと持ちません。澄姫戦でかなり鍛えた真祖でしたが、物理防御が400以下なのでさらにボーナスを埋めつつ、装備も強化していかなければと考えています。

斧を下げ、まじないを2枚にしてみましたが結果は同じでした。が、障壁や呼びが使えるのでいくぶん戦いやすくなったかなと思います。

全体的に回復寄りに変更し、死んでもすぐに生き返れる(ゾンビアタック)ようなパーティ編成にしてみました。が、しかし。あと3kまで削っておいて倒せません。もういやになってきますねw

今回のボスは盾もそうですが、回復が育っていないと倒せないことがよくわかりました。なので老君を回復として使うことでどうにか勝利にこぎつけました。

コツとしては補佐役の回復に粉と霧を担当させて、MP管理を早めにおこない、助っ人王がMP切れにならないように気をつけることでしょうか。

憑依は呼びを2枚、盾の憑依で鋼体連鎖を積んでみました。全体としては3枚障壁に2枚衰力、衰知。すべて自動、盾以外回復モードというシフトにしてみましたが、それでも運が絡んで来るというやっかいなものでしたね。以下がそのときのパラメータになります。

真祖

※刀極意がいい感じで攻撃を受け流していました。憑依で鋼体連鎖を積みましたが、重要な場面でかけてくれましたね。

フレイ

※敢えて前衛守備にして他へタゲが飛びにくくしてみました。火力と回復がとサブ盾を併せ持てるところがフレイさんの強みですね。

主人公

憑依で扇戦を積んだことで回復量に幅が持てたと思います。他の式姫にも言えますが、火と風の耐性に重点をおきました。他に憑依で大回復を積みました。

白峰

※極意の木霊を連発すると阿弖流為にタゲを取られるので今回は火力を抑えています。天魔装束も受けるダメージが強いので絣の羽衣に代えました。憑依では魂呼びを積みました。

老君

※ほとんど巫女と言ってもいいスキル構成です。憑依に魂呼び積んでいるので単発攻撃が他に来ても対応できる形にしました。扇極意がいい感じで発動していたのも大きかったですね。


« 前のページ / 次のページ»