第4章 下総:佐倉村

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【逢魔時退魔学園 裏手】

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百花文(ここは?)

ファイテン「文ちゃんも知らなかったんだ。ここ、学園の裏手なんだよ」

百花文(ずっと学園で学んでいたのに、知りませんでしたね・・・)

ファイテン「私以外に人を見たことがないから、結構みんな知らないのかもね」

百花文(それに、その祠は・・・)

ファイテン「ここね・・・龍がいるんだ」

百花文(りゅ、龍ですか!?龍が学園にいるなんて大変じゃないですか!)

ファイテン「それがね、この龍は完全に封印されてて、力を奪われているみたいなんだよね。だから・・・悪いと思いながら、実技試験の前とかに、腕試しをしていたんだ」

百花文(えっと・・・つまり、危険はない、と?)

ファイテン「何をしても全然手ごたえがないんだよね。だから、いつも私の方が疲れちゃってた」

百花文(はあ・・・それならば、今は式姫の確認や、討伐の練習に使えそうですが・・・)

百花文(・・・・・・確かに、幾重にも厳重に封印されていますね。封印を解く方が、逆に大変そうです)

ファイテン「そうなんだよね。いったい誰が、いつ、どんな理由でこの子を封印したんだろう・・・うんっ、とにかく。今日もお手合わせ願いますか!」

百花文(相手にされないと思いますけどね)

ファイテン「それはそれで!」

【逢魔時退魔学園】

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三善先生「この試練から、いよいよ本格的な遠征に入る。今回の遠征が終われば、陰陽師として一人前といって差し支えないだろう」

ファイテン「とうとうここまで来れたんですね・・・ふふふ」

三善先生「目的地は【下総国】にある【佐倉村】。目標は【案山子神】。あやかしの種類も増えている。相性に気を付けるのだぞ」

ファイテン「相性、ですか」

三善先生「相性とはそのまま、武器や術の相性といったところだ。打属性が効きやすい相手もいれば、逆にほぼ防いでしまう相手もいる」

三善先生「例えば案山子神は、火に弱くて、風に強いあやかしだ。また、遠征先では現地の人や、先遣隊から【試練】を受けることができる。報酬もきちんと出してもらえるので、受けておくといいだろう」

ファイテン「はーい、わかりました!」

【佐倉村】

佐倉村

ファイテン「うーん!見渡す限りの畑と田んぼだね!」

百花文(本当にその通りですね。私も、式を通して確認できていますよ)

村人「お勤めご苦労様です」

村娘「逢魔時退魔学園の生徒さんですか?ぜひ助けてください!」

村人「妖怪が多すぎんだ。少し減らしてくれよ・・・」

村人「突然、村のお奥に【かくりよの門】がひらいて、妖怪があふれてきたんだ!」

【佐倉村 案山子神祠前】

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ファイテン「あれっ。ここの門の雰囲気も、本郷村と同じような・・・」

百花文(その通りです。さすがは陰陽師ですね)

百花文(守護者は本郷村と同じく【案山子神】のようです)

ファイテン「でも、瘴気はこっちの方が少し強いね・・・」

百花文(瘴気の強さは、あやかしの強さです。気を付けてくださいね)

【逢魔時退魔学園】

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校長先生「おお、戻ってきたようじゃの。ご苦労だった、報告はワシが聞こう」

ファイテン「あれ、三善先生は・・・?」

校長先生「報告がワシでは不足かの?」

ファイテン「いや、不足も何も生徒にそれは・・・」

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三善先生「ファイテンか。どうした?こんなところで」

ファイテン「三善先生!ちょうどよかった。遠征の報告を聞いてください」

校長先生「ふーむ・・・ワシに報告ではダメだったか」

三善先生「私も問題はないと思いますが・・・」

三善先生「ファイテン、校長先生への報告では不満なのか?」

ファイテン「へ・・・?こ、校長先生!?ちょっと派手な格好をした生徒かと・・・」

校長先生「こうして顔を合わせるのは初めてじゃからな、仕方ない仕方ない」

三善先生「吉備 泉(きびのいずみ)先生。この逢魔時退魔学園の校長先生だ」

三善先生「陰陽師の始祖と呼ばれる吉備に連なる方で、学園の創始者でもある」

三善先生「がい年を数えているはずの年齢を含めて謎が多いと・・・」

吉備校長「そこまでじゃ、三善先生。年齢などはどうでもよい、些末なことよ。見た目で油断も誘えるからな」

ファイテン「がい年って五十ってことですよね・・・それなのに、これは・・・」

三善先生(まあ、言いたいことはわからないでもないが、な)

吉備校長「報告と言ったがな、ファイテンの討伐は式を通して見ておった。中々の手並みじゃった。これならば週課を解放しても問題はあるまい」

ファイテン「週課、ですか?また宿題とか・・・」

吉備校長「宿題とは違い、やる義務はない。試練を受け、気長にこつこつやるも、一気にやるも自由じゃ。また一人前の陰陽師として【退魔学園採掘場】の使用を許可するぞ」

ファイテン「助かります」

吉備校長「最後に【狛犬の型紙】を支給しておこう。忘れずに召喚するんじゃぞ?」

ファイテン「いいんですか!?ありがとうございます」

吉備校長「ではな、また会うこともあろう」

ファイテン「はい。ありがとうございました」

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三善先生「特別扱い、しないはずだったのでは?」

吉備校長「なに、式で様子を見るくらいはな・・・だが、失敗した」

吉備校長「思い出してしまったよ、あの日のことを・・・昨日のことのように、な・・・」


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