#1「因縁の対決」
#2「言葉の壁」
#3「最初の歌が唄えたぞ」
おいらはケレシン(kelethin)の霧深い森を走っていた。(おいらに限らずケレシン(kelethin)の連中はみんなよく走るんだが)とにかく全力で走っていたんだ。時折毒グモや黒狼を飛び越えながらそこら中を走っているのには訳があって、実はタイガーマスクの兄さん(Sirblod)がログインしていることが分ったからなんだ。
タイガーマスク?誰それ?
ま、おいらの友達にして命の恩人なんだが、詳しいこと(前回の話)は省略するよ。とにかくおいらその人に会いたかったんだ。でもみんなは特定の人物を探すときにどうやって探しているんだろう?おいら走りながらそんなことを考えていた。
ああ〜〜〜〜〜っ
甲高い女性の叫び声においらは立ち止まった。辺りを見渡すとウッドエルフの女性が奴と戦っている。奴・・・・そう、おいらの宿敵雑魚オーク(Orc pawn)だ。
うっ、おいら一瞬固まっちまった。何故って懐には高価なお宝があるからだ。でも躊躇は一瞬だけさ、次の瞬間おいらのこぶしは奴の頭を殴っていた。が、奴はウッドエルフの女性から目をそらそうとしない。
ううう〜〜〜
呻きと共に女性が倒れた。雑魚オーク(Orc pawn)がゆっくりと振り向きおいらをにらむ。戦闘開始だ。が、雑魚オーク(Orc pawn)のHPゲージを見たおいらは勝ったと思ったね。何故って、奴のHPは残りわずかだったからさ。
案の定、奴め背を向けて走り出した。雑魚オーク(Orc pawn)のいつもの手だ。おいらは慌てないで後を追跡する。が、追いついたかと思った次の瞬間奴の姿が消えた!
おいら辺りをキョロキョロしているとスタミナを少し回復させた奴が現れる・・・・再び戦闘・・・・また奴が逃げる。その繰り返し、もう奴の攻撃パターンは見切っている。
やつの攻撃にミスが目立ち始め、逃げる速度が落ちて来た。逃げる雑魚オーク(Orc pawn)の背中においらのパンチがヒットした!そして次の瞬間、奴のその頑丈な体が足元から崩れた。
やった、やった、やったぁ〜〜〜っ!!
おいら初めて奴(Orc pawn)を地にたたき伏せることが出来た。嬉しかったねぇ、嬉しくっておいら奴の回りで踊っちまったよ(笑)。
今まで散々いじめられてきたから、雑魚オーク(Orc pawn)には苦手意識があったんだけど、なんだかスカッとしたよ。ま、手負いだったから勝てたんだけどね。
え、タイガーマスクはどうしたって?
そうなんだ、肝心なタイガーマスクの兄さん(Sirblod)にはまた会えずじまいだった。ま、いつか会えるさ、いつかね。
言葉の壁
初めて奴(Orc pawn)に勝ててポポ助は上機嫌だった。しばらく森を散策していると奴(Orc pawn)に狙われている人発見。おいらさっそく後ろから近づいて不意打ちを食らわせてやったよ。
クククク・・・・奴め(Orc pawn)慌てて逃げ出していった。もちろんその人の獲物だからそれ以上は手出ししないけどね。ちょっとした森林警備隊になった気分(^。^)〜♪
たくさんの獲物で荷物が一杯になったおいらは、ひとまず街へもどることにした。リフトを昇りきった所で戦利品を確認。ま、ジガバチの羽ばかりで、大した物は無いんだけどね。
アーンウェン(Aarnwan):「ちょっといいかい?(Hail)」ふいに後ろから声を掛けられた。振り向くと魔法系のハイエルフっぽい兄さんだった。
アーンウェン:「君のpodcを拝見していいかな?(Can you show that to podc?)」
ポポ助(poposuke):「podcって何?」おいらそう聞き返したけど、アーンウェンはそれには応えずに、おいらの何かを見ているようだった。たぶんおいらが使えそうな奴かどうか調べているんだろうな。何せ歌が歌えないバードだからね、おいら^-^;
するとアーンウェンはいきなりスペルを唱えた。そして太剣をおいらに差し出したんだ。
ポポ助:「ごめんよ、おいら今無一文なんだよ」有り金は銀行に預けてあったからね。おいらそう言ったんだ。
アーンウェン:「お金なんかいらないさ、取っておいてくれよ」ってハイエルフの兄さんは言うんだけどそれじゃあ悪いよ。
おいら今取ってきたばかりのジガバチの羽と骸骨をトレードしたんだ。するとアーンウェンはそれをおいらに返してよこした。何だかいろいろ言っていたけどおいらにはチンプンカンプン、もっと分りやすい言葉使ってよ。
アーンウェン:「頼むからトレードボタンを押してくれないか?」困っていたおいらにアーンウェンは言った。おいら良く分らなかったけど取りあえずもらっておくことにしたんだ。アーンウェンは深々とおじぎをするとその場から立ち去っていった。お礼をしなきゃならないのはおいらのほうさ。
ポポ助:「ありがとうアーンウェン」
はぁ、こんなにしてもらっちゃって悪いなあ。もっと言葉が分ればいろいろ話せるのに・・・・・・・そう思いながらアーンウェンを友達登録するポポ助なのでありました。
最初の歌が唄えたぞ
早く歌が唄いたくてレベル上げにいそしむポポ助なんだけど、でもどう考えてもおかしいって最近思えてきた。つまりさ、おいらが歌を唄えない原因はスキルの問題じゃないんじゃないかってこと。
歌はちゃんとスペルブックに書き込んであるのにそれを唄えないってことがあるのだろうか?おいら何十匹目かの巨大コウモリを倒しながらそう考えたんだ。
「おいらは歌を唄える、ただやり方が間違っているんだ」おいらはそう自分に言い聞かせて一旦肉体から離脱することにした。異世界にあるという「魔法と歌の扱い方」についての書をもう一度確認するためにね。
いろいろな書を見て回るとなるほど、スペルブックに歌を書き込むだけじゃ唄えないってことが分ってきた。書き込んだ歌をすぐに唄えるように<歌の印>をもう一度書き写さなきゃいけないんだ。問題はどこに書き写すかだが・・・・・・ん!・・・・・ああ〜!。
あったぁ〜〜〜!!
<歌の印>を左上の楕円形の型の中に当てはめると、書き込みゲージがぐんぐん上がりはじめて「戦いの歌(Chant of Battle)」の印がおいらの目の前に現れた。後はそれを起動させればいいだけだが・・・・・・・。
おおお〜〜〜っ、こ、これはぁ〜〜!!なんとポポ助の全身が光に満ちあふれている。
カッコいい〜〜(⌒▽⌒)体の底から力が湧いてくるみたいだ。おいら嬉しくなっちゃって、体から光を出しながら街を走り回っちゃったよ。それから森に出て狩をしてみたんだ。もちろん唄いながらの戦闘だよ。
最初に出会ったのは雑魚オーク(Orc pawn)。今まではこいつに遭うとシッポを巻いて逃げていたポポ助だったが、それは昨日までのおいらさ。
さっきアーンウェン(Aarnwan)からもらった太剣をヒラリと抜くと、おいらは奴(Orc pawn)目がけて突進した。全身から光をみなぎらせたおいらの剣が、雑魚オーク(Orc pawn)の体力をサクッと削る。それからザクザク削っていく。
すごい!凄すぎる〜〜。
勝負はあっという間についたよ。おいらの潜在能力が一気に開花したって感じ、これが本物の吟遊詩人(BARD)なんだね。雑魚オークよ、今度遭ったら君の墓石には何て刻む?(笑)。
宿敵にようやく勝てたポポ助。自信に満ちあふれてはいるが、それは本当の実力なのか?次回「バード失格・・・・」に続く。