#1「ホント性格悪いよ、お前」
#2「一獲千金のチャンス」
#3「ノーラス(Norrath)名物、死体探し」
ポポ助(poposuke)は夜の森を走っていた。暗い森に降り注ぐ雨が、おいらの視界を一層さえぎっていた。いや、正確に言うならおいらは逃げていたんだ。森の中で道に迷っちまってさ、あてもなく走っていたら、奴がおいらの存在に気づいたってわけだ。
ガルルゥ・・・・。走るおいらの耳元に聞き覚えのある、いや〜んな呻きが響いた。奴は確実においらの背後を捉えながら、HPバブルを削っていく。視界右上には赤字でこう記されている「Orc pawn」あ、あいつだ・・・・鎧を着た黒い奴。
おいらは焦った。奴と戦っても勝ち目なんかない。が、このままでもそれは同じだった。おいらは振り返って奴(Orc pawn)と対峙(たいじ)した。右から左へ、鎧を着た黒い奴がおいらの視野に流れ込んできた。と、同時に一人の女性の姿も目に入った。名前はカイレン(Kaylen)、以前おいらを窮地から救ってくれた女性だ。
やった、これで助かった。おいらは正直そう思ったね。カイレン(Kaylen)の放つ青い光がおいらを包み込むと、HPバブルは一気に上昇した。
ポポ助が剣で奴(Orc pawn)に切りかかる・・・・カイレン(Kaylen)には目もくれず、奴はおいらだけを狙う・・・再び青い光・・・おいらのHPバブルはMAXまで跳ね上がり、剣が奴を襲う・・・・が、奴のHPが削れない、少し削るとまた戻る・・・・何故だ?
減り続けるおいらの HPバブルにカイレンの青い光が降り注ぐ・・・1回、2回、3回・・・HPゲージが元に戻る・・・・が、それは奴も同じだ。つまりおいらの攻撃力では削ることが出来ないんだ。
見に見かねたカイレン(Kaylen)の、巨大剣が宙を舞った・・・・一振り、二振り(早い!)・・・・奴(Orc pawn)のゲージが面白いように減っていく・・・・三振り・・・・戦況を察した奴が逃げ出した。
な、何て奴だ、待てコラぁ!!おいらは追いかけた。が、素早い奴はおいらの攻撃をスルスルと切り抜けながらHPの回復を待つ。あと一撃、後一撃でしとめられるのに・・・・!
今思えば、そこでやめておけば良かったのかもしれないな。おいらは奴(Orc pawn)を追いながら更に森の奥に迷い込んでいたんだ。もちろんそこにはカイレン(Kaylen)の姿はない。 奴(Orc pawn)は振り返りざまに攻撃に転じてみせて、そして地に這いつくばったのはポポ助のほうだったんだ(涙)。
おいら情けなくなったよ、カイレン(Kaylen)にあそこまで助けてもらったのにさ。無様ったらないよ。再起動したおいらは持ち物を調べてみた。戦利品の巨大バチの羽が無くなっているのはもちろん、師匠シリア(Sylia)にもらったギルドチュニック(布の服)とわずかばかりの銅貨も無くなっている。
ガ〜〜ン!おいらのショックを分ってもらえるかな?再び手にしたパンと水の代りにしちゃ、あまりに大きい損失だよ。
おいら慌てて自分の死体を探したよ。辺りもかなり明るくなって来たんでポポ助の屍は程なく見つかった。ギルドチュニックもある・・・・・・が、その喜びも、不敵な笑みを浮かべる奴(Orc pawn)を見るまでの、ほんのつかの間だったんだ。 後の事はもう聞かなくてもいいだろ。
ホント性格悪いよ、お前って奴は!友達少ないんじゃないのぉ (Orc pawn)!
よくよく調べてみたらOrc pawnって雑魚オークっていう意味だったんだね。クスクス(^_^)雑魚オークだってさ、笑っちゃうよね。ん、じゃあ雑魚じゃないオークってのもどこかにいるって事?・・・・ま、今は深く考えないでおこっと。
一獲千金のチャンス
ギルドチュニックを失いその傷心もさめいらぬまま、おいらは再び狩り場にもどったんだ。まだ巨大コウモリ(a bat)にさえ手を焼いているおいらだけど、その非力さが人々の同情を買うらしい。
なかなか当たらないおいらの剣を、見るに見かねた誰かが術をおいらに掛けてくれたんだ。悪いねぇみんな。そのかいあって巨大コウモリ(a bat)を倒すことができたよ。しかも、お決まりの羽の他にコウモリの頭まで戦利品にあったりしてさ。ついてるぞ今日は。
リフトに戻ると、さっきおいらに術を掛けてくれたワンバ(Wamba)っていう男性が、座っていてね。おいらすかさずお礼を言ったんだ。
ポポ助:ありがとう!ワンバ。
ワンバ(Wamba):you are welcome.(やや間があってから彼はそう言った。ほんとここ(kelethin)の住民って親切な人が多いよね。)
彼と別れるとおいら久々の大漁にうきうきしながら、街の銀行に向かったんだ。大切なものは銀行にあづけておかないとね。その前に獲物を売りさばかなきゃならないんだが、銀行の前にいる商人( Merchant)には要注意。人の足元をみるからね。ちょっと離れた所の方が高く買ってくれるよ。
だんだん小銭も貯まり始め銀貨5、6枚になった頃、「INN」って描かれた小屋の前を通りかかったんだ。つまり宿屋ってことなんだけど、そこの店主は店の外にいてねちょっとした小物とかも売っていたんだ。商品はありきたりのものばかりだったけど、その値段をみておいらびっくりしてしまった。
あの巨大バチ(a giant wasp drone)の羽が銀貨7枚で売られているんだ。そりゃ暴利だよ姉さん。んー、ちょっと待てよ・・・・・・売られているなら買ってもくれるって事?少し歩けば商人( Merchant)が巨大バチの羽を銀貨1枚で売っている・・・・ということは(⌒▽⌒)ナーイス。
おいらの脳裏に良からぬ考えがムクムクと起こり始めた。銀貨1枚で仕入れて銀貨7枚で売る!お、おいしすぎますぜ〜〜アミーゴ(-。-;)。これでおいらもリッチマン(いや、リッチエルフ)。さっそく銀行で全財産を下ろして巨大バチの羽を買い占めだい。
おいら6枚の羽をにぎりしめて、宿守りのアニシラ(INN Keep Anisyla)の元へ行ったんだ。(銀貨7枚掛けることの6で・・・・・・・ウホホホ、変動相場にでもなってるのかなあ。売った途端に価格が下落したりしてさ。)
が、しかーし。アニシラの提示した羽の金額は銀貨1枚・・・・・・だけ??え、どうして?じゃ、単に銀貨1枚で仕入れて7枚で売っている悪徳なだけの女将なの?と、おいらガッカリしながら彼女の売っている羽の名前をもう一度確認してみた。
faerie wing(フェアリーの羽)
そしておいらの握りしめたみすぼらしいのはwasp wing(ジガバチの羽)
「んが〜〜全然違うじゃ〜ん。」
フェアリーってあの、森の中をフワフワ飛んでいるあれのことだよね?そりゃ銀貨7枚はしても当然だよ。全財産をジガバチの羽につぎ込んだおいらって一体・・・・・・・・・・(-_-;)。
ノーラス(Norrath)名物、死体探し
今夜のケレシン(kelethin)はいつになくにぎわっていて、おいらも何だかウキウキしていた。新しい挨拶の仕方を覚えたんで、ひとけの無いところで一人練習。手を振ったり、うなづいたり、お辞儀したりね、はたから見たらちょっと危ない兄ちゃんって感じだな(笑)。
突然後ろから声がした。振り返ると魔法系な出で立ちの兄さんが、おいらに話しかけてきた。すらりとした面立ちは多分ハイエルフか何かの種族だろう。
フィデリン(Fidelin):私の死体が見つからなくて困っているんだ。すまないが、君の力で探してくれないか?
ポポ助(poposuke):おいら新人なんで、そういうのはちょっとぉ。
フィデリン:そんなこと言わないで頼むよ。私の死体!私の死体がぁ!!
ポポ助:いやぁ、そう言われても困るよぉ〜〜。
可哀想だとは思うけどおいらにはそう言うしかなかった。(あ、知らない人のために言っておきますと、ここノーラス(Norrath)の世界では死ぬと持ち物や装備は死体に残されて、自分は出発地点で復活するんですね。で、一定時間内に自分の死体を見つけださないと、死体が無くなって持ち物がパーになっちゃうんです)
だから一度死ぬとみんな必死で死体を探すんだけど、これがなかなか見つからない。なんで新人のおいらに死体探しを頼むのかっていうと、ポポ助のクラスがバード(bard)だからなんだ。
バードっていうのはいろんな歌を知っていて、その中には「死体の発見(Lyssa’s Locating Lyric)」って歌があるんだ。だから自分の死体が見つからないと、みんなバードの歌をあてにするってわけなんだ。
しかし、悲しいかな貧乏なおいらにはまだ一つも歌がない。だからもっと先で覚える「死体の発見(Lyssa’s Locating Lyric)」の歌なんて、夢のまた夢なのよ。
最初に買える歌が金貨1枚と銅貨5枚だったかな?小銭も貯まったことだし、おいらも最初の歌でも買って、歌唄いにならないとね。
よし、さっそく貯金をはたいて歌を買いに行こう!
さて、全財産を手にして歌を買いに行くポポ助。これで本物のバードになれるのか?次回「ウィークエンドはカーニバル」に続く。