#1「ハッピーバースデー」
#2「ファーストコンタクト」
#3「街からの脱出」
ふと気づくと、ポポ助は床の上に降り立ってた。木でできた床、巨大な大木、それがおいらの目に映った最初の風景だった。
「ヒャッホー!、ログイン出来たんだぁ!」
そう叫び小おどりしながら辺りを眺める。ここノーラス(Norrath)に初めて生を受けた人は、皆こんな気持ちになるのだろうか。実際ここまで来るのって、ほんと大変たったからねぇ。
辺りをキョロキョロ見渡していると、ボードの上に英語で書かれたメッセージが次々と流れていく。
「ハッピーバースデー!」黄色い文字でそう書かれている。
「ふーん、誰かの誕生日なのねぇ」と思ってたら実はおいらの事を言っていた。
「 ンなことまでお見通しなのね?さすが創造主だ」
意味もなく感心しながら、おいらはその記念すべき一歩を踏みしめた。霧深い森を見渡しながら歩行訓練開始だ。よく見ると巨大な木の上に街があって、おいらはその上にいることが分った。
ケレシン(kelethin)って街は何十本の大木がつり橋でお互いが連結して出来ているようだ。 上から底を覗いても深くて何も見えやしない。
「ここから落ちたら即死だよなあ」
木の床から落ちないように気をつけながら、おいらはヘリづたいによろよろ歩いていたんだ。すると人が目の前を人が走り抜けていく
「おお〜〜第一村人発見!」
街なんだから人がいて当然なんだが、おいら妙に興奮してしまったんだ。
あ、そうそう、自己紹介しなきゃね。おいらの名前はポポ助(poposuke)。種族はウッドエルフで、ここケレシン(kelethin)Cityはおいら達ウッドエルフの故郷って訳なんだ。
詳しく言えば、ノーラス(Norrath)にある三大大陸の一つフェイドワー(faydwer)のちょうど中心(gfaydark)に、ケレシンは位置しているらしいんだ。ちなみにポポ助はレベル1のBard、つまり新米吟遊詩人って訳です。
「ファーストコンタクト」
田舎者丸だしで辺りをキョロキョロしていると、ポポ助をジッとみつめる人がいることに気づいた。金髪の小っちゃなおじさんで(おいらも小さい方だが彼はさらに小さかった)、名前はラムカン(Ramkahn)、そう書いてあった。
ラムカン:は〜い、ハロー。
ポポ助:あ、あ、ども。(おお〜おいらに話しかけてるぞぉ〜)
ラムカン:この世界は初めてなの?
ポポ助:まあ、そんなところです〜。(いやぁ、おいら外人さんと会話してるだねえ〜)
そう応えるとラムカンは大袈裟にジャンプ。こっちからも何か会話をしようとreturnキーを押してキー入力をするんだけど、何せ舞い上がっているのとスペルがわからないのとで、メチャクチャ状態。
ラムカン:この後どうするかわかっているの?君ィ。
ポポ助:いや〜、それがドーモ(汗)
なんてシドロモドロしていると何か大勢集まってきちゃって、テキストの流れがいきなり速くなったからもう大変だ。自分の意志を伝えようと言葉を選んでいるともう会話は次に移っちゃうし、もうちょっとゆっくり言ってもらえないかなあ、アミーゴ(笑)
ランカン:ねぇ、ひょっとしたら今日初めてプレイするの?君ィ。
ポポ助:え、ええ、多分。(お、おいらは何を言っているんだ。しかもスペルが違ってるぞ)
ランカン:ところでクラスは何?
ポポ助:あ、おいら吟遊詩人(Bard)なんすよ、一応。
ランカン:持ち物の中にノート持ってるかい?
ポポ助:無いですぅ。(っておいおい、持ってるだろ。ウソつくなよ)
ポポ助:理解しました。(な、何言ってんだ>ポポ助。訳わかんないよぉ)
本当はNo understandって応えたかったんだけど、NOと understandが別々になっちゃったんだよね。
ランカン:ゲームの最初にすることは君のマスターにノートを届けることなんだよ。解るかい君ィ?
ポポ助:Oh Yes.(解ってないだろ、本当は^-^;)
ポポ助の返事に大袈裟にジャンプするランカン。ここらへんでこいつはアホかと思われたのかもしれないな。横を振り向くと何か物騒なおやじがツカツカと近づいてきて、いきなり呪文を掛けてきたんだ。ビジュアル的にすごくきれいで何かシャボン玉みたいなやつ。
ポポ助:「おお〜すげーなんだぁ一体。」(思わずおいらはそう叫んじゃったよ)
ま、そんなこんなでポポ助のファーストコンタクトは終了。いやあ、結構楽しいなこの世界って。
「街からの脱出」
そうこうしていると日が落ちて、辺りはすっかり薄暗くなってきた。町中は明かりが灯っているから歩いていても大丈夫なんだけど、木から木へのつり橋を渡るときはちょっと恐い感じだね。
まずは我が町を知るってことで、ひっそりと静まり返った ケレシン(kelethin)の街をポポ助は練り歩いたんだ。 ケレシン(kelethin)の街って、一本の大木に八角形の変な小屋が3つ4つくっついているんだ。
で、当然ドアとかも付いているんだけど、中にいる外人さんに質問攻めにされても困るので、今日は小屋の回りを散策することにしたんだ。小屋の回りに狭い通路があって柵で囲われているんだけど、みると小屋の窓から光がこぼれている。
「ん、何だろ」
おいらは恐る恐る覗いてみた。2、3人の男女が火を囲んで集まっている。みていると緑色の無数の光玉が女性の体から放たれた。
「おお〜グレイトぉ〜」
なんて美しいんだろ。おいらはしばし見とれてしまった。多分あれは魔法使いのギルドか何かで、秘伝の魔法を伝授されていたんだろうなぁ、一子相伝の。それとも悪魔を召喚でもしているのか?
ケレシン(kelethin)って街そのものは複雑なんだけど、一つ一つの小屋に特徴がないから散策していてもどれも同じに見えてきちゃうんだ。おいら少々飽きてきた。かといって流れ者のガンマンみたいに酒場に入っていって、 「マスター、ターキーのダブルをストレートで頼む」なんて言えるだけの根性もないしね。
だから町の散策から街からの脱出へと目的が変わっていったんだ。 ん、街からの脱出??不思議に思われるご貴兄もおられると思うが、さっきから小一時間もさ迷っているのに大木群の下へ出る方法がわからないんだ。
どこから外に出たらいいの?おいらは真剣にそう思って来たね。 もう辺りはすっかり暗くなっちゃってさ、ノーラス(Norrath)時間で言えば丑三つ時ってところかな、辺り一帯はシンと静まり返って人影もまばらだ。おいらは木から落ちないように床の縁を慎重に歩きながら、街の外へと通じるルートを探した。どこかに階段か、梯子があるはずだ。
ピカッ、ゴロゴロ〜!
爆音と共に辺りに閃光が走った。ばらばらと大粒の雨粒が落ちてくる。
「な、なんだぁ」おいらは天を仰いだ。再び、稲光。辺り一面が明るくなる。
「す、すごい!」
まるでストロボのような明るさに、闇に眠ったケレシン(kelethin)が、一瞬その素顔を覗かせた。
ウィ〜〜ン
そして、それとはまったく違う機械音がどこからともなく聞こえて来る。おいらは辺りを見渡した。が、その主は闇に溶け込んでいた。おいらは待った。そして、3度目の稲妻が写しだしたもの、それは フロアーに横付けされた木製のエレベーターだった。
「こ、これは!」
おいらはうなっちまった。これがこの街から外へ通じる手段であることはすぐに見て取れた。しかし、 エレベータの上には人が寝ている。いや、これは死体・・・・・・か?
「な、なんでこんなところで死んでんねん、兄さん」
ウ〜ム、ま、深く考えないでおこ。と、言う訳で外に出ることができたおいらでありました。
さて、森へ出た吟遊詩人ポポ助に待ち受けるものは?次回「初めての対決」に続く。
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